14.確信?
「実はさ、さっき俺見ちゃったんだよね、ローズが袖口から小瓶を出してチョコレート菓子に何か垂らしたのを」
ええっ!それはストーリー通りならば私がやる役目じゃないですか。
ヒロインがなぜ突然悪役令嬢みたいになってしまったのでしょう。それに、自作自演にしては下手すぎます。
と色々思いましたが、努めて平静を装って私は尋ねます。
「つまり、彼女は毒を盛ろうとしたのでしょうか」
「そうみたいだな、だが、さっきも言った通り銀狼が調べてくれたんだが、毒薬の類は全然出なかったんだ。だから余計に怪しいんだよ」
「それに、もっと不可思議なことは自分でそれを食べたことなんだよ」
「確かに、そうですね」王子の話を聞きながら私は先程の状況を振り返ります。
「だから、リーファにはあまりローズに近寄らないんでほしんだ。なんか色々心配でさ。考えてみたらあいつが転校してきてから、全然おまえが話しかけて来てくれな」
その時、バタンとドアが開いて銀狼が入ってきました。
「なんの魔法薬かわかったわ」彼はそう言いながら、バタバタと私たちの方にやってきます。
「惚れ薬や、だから毒薬の検査で異常なしやったんやなー」
疑問が解けてすっきりしたような顔をした銀狼はそう言います。
「惚れ薬!?それは10年ほど前に使用中止にした、禁断の恋の魔法薬じゃないか」
王子が驚いたようにそう言いました。
「どうしてローズは、そんなものを持っているんだ…それに、なぜそれを自分で食べたのか」
謎は深まるばかりでしたが、とりあえずは今まで通り過ごして彼女の様子を見ようという話になったのでした。
それからというもの、私たちはチョコレート菓子事件については触れずに、あくまでいつも通りに過ごしておりました。
「そういえばさ、今度の夏季休暇、俺の別荘にこない?」
いつもの通り、ランチ時間にみんなでご飯を食べていたらレオ王子がそんなことを言い出しました。
「私はお父様のお手伝いがあるから」
正直言って、ストーリー通りの展開ではないことが以前のチョコレート菓子事件で起こっているため、最近では、私もなるべく目立つような行動はしたくないと思い始めておりました。
けれども、
「お前がこなかったら、意味ないじゃん、俺の婚約者なのに」
なぜかあのチョコレート菓子事件から、やけに私のことを気にかけるようになったレオ王子は、最近とりわけ私が彼の婚約者であることを強調してきます。
「そうだよー、みんなで行こうよ」
グループの調和を保つことを良しとするルークが、すかさずそう言います。
ちなみに私が行きたくないのには、大きな理由がありました。
ストーリー通りだとこの別荘イベントで、ヒロインの前で悪役令嬢が王子との仲の良さを見せつけるように無理やりキスをするのです。
これは王子がヒロインへの罪悪感を深く感じて、悪役令嬢に嫌悪感を持つ決定的な出来事なのです。
私は正直彼に無理やりキスを迫るつもりは毛頭ありません。
というか、私の押しは彼の側近ですから。
というわけで、
「いいえ、私は忙しいので」
協調性にかける発言ですが、今回だけは私も引き下がりませんでした。




