13.小さな疑念2
私がとめるまでもなく彼女はもくもくと食べます。
「これ、すごく美味しいです。レオ様も食べません?」
ぽかんとしている私を置いて、彼女は王子にお菓子を勧めます。
「そうだな」王子がローズに笑いかけてお菓子に手を伸ばそうとした時、
「っ」ローズが突如額に手を当ててしゃがみ込んだのでした。
「ローズ!どうしたんだ」
それに気づいた王子が叫んで慌てて彼女の方に駆け寄り、そのため、何事かとクラスメイトが私たちの方を見たのでした。
「大丈夫か?」
王子が心配げにローズに尋ねる間、私は彼女の傍で周りに怪しい物はないかを確認していました。
「え、えぇ。急に身体がすごく火照ったようになっちゃって」
そう言って顔を上げたローズは頬の朱色がいつもより鮮やかなように見えました。
「少し休んできます」そう言って彼女が立ち上がったので、
「ついていくよ」王子は彼女の肩にさっと手を回して気遣うように去っていきました。
□□□
「何があったの?」
ストーリーとは異なる展開とはいえ、本筋はストーリー通りに進んだので、私は少しこれから先が不安になっていました。
「急に、ローズが体調を崩したの。それで王子と保健室に」
私はさっき起こったことを手短に話しました。
「それって、私たちのお菓子を食べた後?」
シャオが心配そうにこちらにやってきて聞いてきます。
「うん…」
あのお菓子には何も混ぜてません。なのに、彼女は突然発熱したかのように頬を赤くさせていました。
「でも、俺も味見したけどピンピンしてんで」
私たちの話を聞いて、チョコレート菓子とクリームどちらも味見をした銀狼がそう言います。
「君は何食べても元気じゃない」
そんな彼にすかさずルークがツッコミを入れますが、彼も瞳に心配の色を滲ませています。
「とりあえず、あとで様子を見に行こう」
□□□
「あら、みなさんわざわざすいません」
ベットの上で弱々しくローズはそう言います。
あの後、私たちは片付けをすぐに済ませて彼女のもとに向かったのでした。
「体調はどう?」
ルークは心配そうです。
「えぇ、おかげさまで」
彼女は儚げに微笑んでそう言いました。
トントン
後ろから肩を誰かに叩かれたので振り向くとレオ王子がちょっと、と手招きしてます。
彼に連れられて保健室を出た私はそのまま以前来たことがある、王家の者達が休憩する学内の特別な部屋に連れてこられました。
ここで悪役令嬢はストーリー通りならば、王子にローズのことで責められるのです。
部屋に入るなり、
「私は何もお菓子に混ぜておりません。疑うなら調べてみてはいかがですか」
王子が口を開くまでに、私はそう言い切りました。
いつもと違う私に彼は少し驚いた様子でしたが、
「それは、わかってる。銀狼がすぐにお菓子を調べて何も入ってないことを証明してくれたからな」
と言いました。
「それより…リーファ、お前、あまりローズには近づくな」
仲良くしろと言ったり、近づくなと言ったり色々忙しい人です。今度は何があったのでしょうか。




