11.確信
「彼女にだけ聞こえるように言ったってことなら、つまりは彼女しか噂を広めようがないじゃない」私がすかさず言いました。
(おそらくこういう展開にはなるかなとは、思ってたけど。ストーリーにもあるしね)
「それは確かにそうだけどなぁ」
シャオは私のことは疑いもせず信じてくれていますが、同時にローズのこともそれほど悪く思ってはいないようでした。
ここで私は今後どうするか、ちょっと事項を整理しながら考えました。
1.あの時、私が言った一言は大丈夫とかなんとか、そういう類です。
2.この世界の元となるゲームでは彼女は確かに「最低な女」と嫌味たらしくローズに言っていました。
3.つまり、この世界では私がどんな発言をしたとしても悪役である私は補正がかかり、ストーリー通りの展開に巻き込まれてしまうのかもしれないみたいです。
「ふう」上記のことを考えて、私はため息をつきました。
「ふう、じゃないでしょ、もう。これからどうするのよ、貴方は王子様の婚約者なんだから。悪評なんてたったら―――」シャオが悲しいような困ってるような顔をして私に言いました。
(そもそも悪役令嬢ポジションになると分かってて飛び級できるこの学園に来たのだけれど、お父様のお立場を考えると私が物語通りに国外追放になるのも不味いか、この現実はゲームじゃないんだから)
「今回の件は、レオたちの誤解は解かなくちゃね。でも、噂はどうしようもないから消えるのを待つしかないわ」
私は結局そう結論付けたのでした。
放課後―――
今日は選択科目の関係上、いつものようにランチをレオたちと一緒に食べられなかったので誤解を解くなら放課後でした。
だから、私は放課後のクラスでレオたちの姿を探してキョロキョロしていたらルークが後ろから声を掛けてきました。
「大変なことになってるね、大丈夫?」彼は心配そうに緑色の瞳をゆらゆらさせています。
「うん、ルークは―――」私が言いかけたところで
彼はそっと手で私の話を遮って、
「もちろん、君がそんなことを言う子だなんて思ってないよ。それにあの時僕も間近に居たけどそんなこと君は言ってなかった。銀狼ももちろん同意見だ。だけど、レオがね―――」そこまで言って彼は話を切り、その時教室にローズとともに入ってきたレオの方をちらりと見ました。
彼は今日はキラキラと光る金髪をワックスでくしゃりとセットしていました。そうして気遣わしげにローズの方を見ています。
対してローズの方は、そんなレオに微笑みかけて何やら楽しそうに話しかけています。今日もストロベリーブロンドの髪は美しいです。
(こうして見ると、ほんとにヒーローとヒロインだなって思うわ)
私が一瞬色々のゴタゴタを忘れてこんなことを考えていると、私に気づいたローズがさっとこちらに駆け寄ってきました。
「リーファさん、ごめんなさい。私のせいで変な噂になっちゃって。私はリーファさんがそんなことを言ってないのはわかってるから」彼女は悲しそうに瞳を伏せながら私のほうに来るなりそう言ったのです。




