文化祭
ノブタダのいる工業高校では、新入生勧誘もかねて、文化祭を5月連休に行なう。秋には体育祭があるし、資格試験も多い。この次期が一番遊べるようだ。
入ってすぐにロボ研はわかった。何台もの自走ロボットが誘導しているからで、これがなければおそらく誰も訪れないだろう。校舎の裏手のガレージの廃車の谷にあったからだ。
「ここなら、部材に事欠かないから。」
3年になった彼は部長として頑張っているらしい。中学校では結局、光秀のことはわからなかったが、部長をやってみると、人をまとめるには己の信条を曲げることも必要なんだということが見えてきたそうだ。もしかしたら、光秀は信長と戦いたくなかったんじゃないか。もし、周囲のものが人質にとられていて、やむなく本能寺の変を起こしたのだとしたら。そんな考えもできるようになってきたそうだ。
「水田先輩のことなら、明日香先輩のほうが詳しいでしょ。」
そういわれて、ぼくは返事に困った。実際、マリのことはほとんど知らない。知ろうとしなかったからだ。
「そこのロボット犬、先輩の作なんですが名前わかります?」
小さな白い犬が、入り口で尻尾を振っている。
「シロとか。」
「残念。ゼロ!」
そう呼ばれたロボット犬は後足で立ち上がり片手を上向き、もう片手を下向きにして腰を振り始めた。
「先輩たちは、インド人の踊りって言ってました。名前はゼロ号機という意味なんでしょうね。」
いや、おそらく違う。僕の中学でのIDだ。
「犬というと怒られました。弟だって。さすがに、学校の資材を使っているので、卒業のとき置いていくことになりましたが。」
高校では大した収穫もなかった。ロボットにゼロとつけるくらいだから、やはり一緒にいたかったということなのだろうか?でも、家はわかってるはずだし、ネットもあるし。実は思い過ごしであって、単なるペットロスなんじゃないだろうか。




