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第003話「っていう夢を見たんだけどさ(前編)」

「――尾本さんの体重増減は以上のとおりです。続いて、資料の2ページ目をご覧ください」


 ページをめくると、一目でわかるほど1ページ目の自分の体重増減グラフとそっくりな折れ線グラフが現れた。


「これが私の世界の魔物の総数を表すグラフです」


 色違いの線で印刷されており、「印刷ミスではありませんよ」とでも主張しているかのようだ。


「なんでここまで一致するんですか?」


 女神が伊達メガネをクイッと持ち上げ、眉をひそめながら尋ねてくる――いや、いつかけた?


「そんなの、俺が聞きたいぐらいですが……」


 女神は伊達メガネを外し、大げさに肩をすくめてみせた。


「……以上のことから、因果関係はまったくの謎ですが、あなたの体重と私の世界の魔物の数が完全一致する事が判明しました。天文学的な確率で、です」


「マジか」


「もうお分かりになりましたね?」


 女神は微笑みながらも圧のある視線を送ってくる。


「つまり、そっちの世界の魔物が減ると、俺の体重が減る……的な?」


「バカですか?」


「バカって言った!」


「逆です、逆! あなたの体重が増えたら、こっちの世界の魔物が増えるんです!」


「そう申されましても……」


「しかもですよ。魔物を倒しても減らないんです! 魔物を1匹倒しても、世界のどこかで魔物が1匹増えるんですよ」


「さすがに偶然じゃないかなあ……?」


 異世界にも魔物にもまるで心当たりがない。もちろん、体重増加の原因なら、ポテチ、カップ麺、唐揚げ、ビールと、いくらでも理由を並べられるのだが。


「じつはですね。以前に勇者が広範囲攻撃魔法を使って魔物128匹を一度に消滅させた事があったんです。そしたら、どうなったと思います? 世界のどこかで魔物128匹が一度に出現しました。そんな偶然あります?」


 女神は資料を握りしめ、まるで決定的な証拠を突きつけるように尾本にぐっと顔を近づけた。その勢いにたじろぎながらも、尾本は資料に目を落とす。

 資料の3ページ目には、どこか見覚えのある某有名イラスト素材の「勇者」のイラストが貼り付けられていた。そのイラストの上には――


『勇者が一度に魔物を128匹倒す → 一度に128匹現れる。Why? なぜに?』


 ――と太文字でデカデカと書かれている。フォントは妙にポップで、余白にはカラフルな星やクエスチョンマークが散りばめられており、どことなく可愛らしい。


「いや、どうだろ? まだ偶然の一致という可能性も……」


「そして、あなたの体重が0.1キログラム減った瞬間に、魔物1000匹が自然消滅するのを観測しました」


「マジか。すげえな、俺の体重。その勇者より、よほど有能なのでは?」


 つまり、勇者が攻撃魔法とやらで「ドーン!」と魔物を128体倒してる間に、こっちは軽いダイエットだけで、数千体の魔物を撃退しているではないか。


「逆もまた然りですよ。あなたの体重が0.1キロ増えると、魔物が1000体増えることも観測しています」


 女神が資料の4ページ目を開く。そこには某イラスト素材の「驚いている豚さん」のイラストが貼り付けられており、『尾本さんの体重100グラムで、異世界の魔物1000体が増減します!』とポップなフォントで描かれていた。


「……なんで豚さん?」


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