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TS猫耳銃士戦記~俺が痩せれば魔王も倒せるらしい~  作者: 頑田むぅ
第二章『アルバベールの首輪』
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第093話「同盟国会議か……」(3/3)


「今更なのですが、これらの議題は果たして自分のような砦の警備隊長クラスの人間が参加していい内容と言えるのでしょうか?」


 自分のような若輩者が果たしてその場にいることが適切なのかと、ライウスは正直不安になる。

 だが、シュラウザーはその問いに少しも戸惑うことなく答えた。


「その疑問はごもっともです、ライウス隊長」


 シュラウザーは穏やかに微笑みながら、優しげな眼差しで言った。


「これらの議題は極めて高度な国家間の問題です。したがって、情報を持ち帰っていただくことが今回の会談の最大の目的となるでしょう。ご心配なさらずとも、後日、政権中央の役人たちによる改めての話し合いが行われる予定です。つまり、今回の会談は言い方が悪いかもしれませんが『会議のための会議』に過ぎないということです」


 その言葉を聞いて、ライウスは少し肩の力が抜けたような気がした。これからの会談が、単なる「第一歩」でしかないことを理解したからだ。重要な会談に参加する責務を果たすつもりではあったが、それでも不安な気持ちは消えるわけではない。

 シュラウザーは穏やかな口調で言葉を続けた。


「しかし、この会談を通して、ライウス隊長が得られるものは多いはずです。どうぞ、安心して会談に臨んでください。私も会談には参加しませんが、後ろで控えておりますので」


 その一言で、ライウスの心はさらに軽くなった。しかし、その直後、彼は自分たちが戦争をしていた相手が、こんなにも気遣いと思慮深さを持った人物がいる国だという事実に、ひとしきり切なさを覚えた。同じ言葉を使い、同じ言語を話しながら、どうして魔王軍が現れるまで、互いにあれほどまでに憎しみ合っていたのだろうか。


「いけませんね、ライウス隊長。あなたは軍人としては少し優しすぎるようです」


 シュラウザーは微かに目を細め、鋭い眼差しをライウスに向けながら言った。


「今、あなたが何をお考えか、私には手に取るように分かってしまいます」


 ライウスが息を呑むと、それすらも予想通りだったと言わんばかりに、シュラウザーが微笑む。


「老婆心ながら……今回はそういった場ではありませんが、交渉や会談の場で相手に考えを読まれないよう、十分にご注意ください」


 シュラウザーの忠告に、ライウスは深々と頷く。シュラウザーは「そういうところですよ」と、さらに頬を緩めた。


「さて、では最初にご質問にあった会談の参加者を説明させていただきます。今回の会談ですが、魔王軍より明日までに返事をせねばならぬという事情もあり、バランスに欠いた例外的な人選になっております。

 まず、アルヴァリス王国からは、西アルヴァリス砦の警備隊長である、ライウス・アーヴィン殿、あなた様ですね。我がエンサリア共和国からは、カーバリオ・ゼルティス執政副長官殿が参加されます……これは、私の独り言なのですが……人質に取られているアーリン・ゼルティス守備隊長のお父上であられます」


「なんと……いや、その事は聞き流しておきます。情報、感謝します」


「東のカルマラ自由都市国家に関してですが、たまたまこちらの砦に滞在されている、オウリィ・カラドグラム商会のオウリィ殿が参加されます。オウリィ殿は、カルマラ自由都市の国家運営を担う『十一人議会』の議員ではないそうですが、繋がりはあるとのことで、今回の情報を伝える役をお願いしております」


「オウリィ氏ですか? あの太っちょ糸目の?」


「おや? ご存知でしたか?」


「西アルヴァリス砦で色々とありまして……なんでも、魔王軍と商談ができないか試しに行って、返り討ちにあったとかで、保護したことがあります」


「それはそれは、なかなか豪胆な商人のようで……ちなみに、カラドグラム家は、不祥事から十一人運営議会から除籍されて久しいのですよ。恐らく、返り咲くために必死なのでしょうね」


「なるほど、そういう事情があったんですか」


「そして、最後は北のレーデベリア帝国からですが……さすがに距離がありすぎますので、エンサリア共和国女神教団よりラスバート・メイシリス司祭様が参加されます」


「司祭が、ですか? そう言えば、レーデベリア帝国は宗教と政治が深く結びついていると聞きますが」


「その通りです。最終的な政治的決定権はレーデヴァイン皇帝陛下がお持ちですが、その統治は宗教的権威者で構成される『神殿議会』が行っているわけで……まあ、面倒な説明は省きますが、アルヴァリス王国やエンサリア共和国はもちろん、各国にいる教会の司祭様が大使のような役割を担っているわけです……ライウス隊長は、少し政治も勉強された方がいいかもしれませんね」


 シュラウザーが顎髭を撫でながら言う。その表情は少し呆れたように見えつつ、口元にわずかな笑みを浮かべている。


「耳の痛い話です。しかし、今回の会談で多くを学べる機会をいただけて幸いです」


「それと……報告が遅れましたが、つい先程、女神様によって勇者アヤト様御一行様が再召喚されたそうです。場合によっては、会議に参加されるかもしれません」


「なんと! アヤト殿とシャルル殿が!」


「ああ、なんと申しますか……おふたりではなく、四名様のようです。ただ、あれを四名と言っていいのかは謎ですが」


 その物言いに不思議そうな顔をするライウスを見たシュラウザーは「また顔に出ていますよ?」と苦笑いを浮かべた。


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