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犬だと思って拾ったら、どう見ても猫でした  作者: 櫻木サヱ
犬は散歩を拒否する

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6/8

猫だと言われても犬は犬

 それからというもの、隣人はたまに顔を出すようになった。


 理由は、だいたいどうでもいい。


「ゴミ出しの日、間違ってますよ」とか。

「自転車、少しはみ出てます」とか。


 だが毎回、視線は犬に向かう。


 今日は、ソファの背もたれの上。


 次の日は、冷蔵庫の上。


 その次は、なぜかドアの上。


「……器用ですね」


「運動神経いい犬なんで」


 私は誇らしげだった。


 隣人は、もはや訂正しない。


 ある日、隣人はぽつりと言った。


「……猫砂、必要だったら余ってますけど」


「犬なんで大丈夫です」


「……そうですか」


(この人、心折れるの早いな)


 犬は少し同情した。


 夜、私は犬を撫でながら話しかける。


「なあ、お前、猫って言われること多いけどさ」


 犬は喉を鳴らした。


 ごろごろと。


「気にするな。俺は分かってるから」


(それ、猫の音)


 犬は、あえて訂正しなかった。

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