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信じる者は救われない
家に帰る道すがら、私は満足していた。
「な? やっぱり犬だったろ」
犬は、キャリーの中で目を細めた。
(やっぱり、って何)
家に着き、キャリーを開けると、犬はすぐに外へ出た。
そして真っ先に、窓辺へ。
外の世界をじっと見つめる。
私は、隣に腰を下ろした。
「……病院、嫌だったか?」
犬は、答えない。
でも、しっぽの先が、少しだけ揺れた。
(嫌、ではない)
(ただ……)
犬は考えた。
(ここまで来ると、もう訂正するタイミングがない)
私は続ける。
「犬でも、色々あるよな」
犬は、心の中で頷いた。
(犬じゃないけどな)
その夜、隣人からメッセージが来た。
「……病院、行きました?」
「行きました! 犬でした!」
しばらくして、返信。
「……そうですか」
短い一文。
その裏に、深い諦めがあった。
犬は、ソファの背もたれで丸くなりながら思った。
(この人間、信じる力だけで生きてるな)
だが、不思議と悪い気はしなかった。
この家は、暖かい。
ごはんも出る。
撫でられる。
名前もある。
(……まあ、犬でもいいか)
そう思ってしまった時点で、
犬(猫)の負けだった。




