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攻略対象に転生した俺がヒロインを落とすはずだったのに、気づけば俺の方が落ちていた件。  作者: 続けて 次郎


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第十二章 攻略対象、全面戦争

翌朝。


教室の空気が重い。


原因は一つ。


「聞いたぞ」


アークが真正面から言った。


逃げ場なし。


「告白したらしいな」


周囲の視線が一斉に刺さる。


カイルは本を閉じている。

ミレイユは目を丸くしている。

セシルは……笑っている。


アリスは顔を真っ赤にして俯いている。


「事実だ」


俺は否定しなかった。


ざわ、と空気が揺れる。


アークが一歩前に出る。


「返事は?」


「まだだ」


「そうか」


短い言葉。


だがその目は、完全に戦闘態勢。


「ならば公平だな」


……は?


ミレイユが机を叩く。


「公平じゃありません! レオン様が先に言ったなんて!」


「恋に順番はない」


カイルが静かに言う。


「選ぶのは彼女だ」


セシルが拍手する。


「素晴らしい。では改めて宣言しよう」


嫌な予感しかしない。


「この学園で、彼女の心を射止めた者が勝者だ」


勝者って何。


アリスが慌てて立ち上がる。


「え、ちょ、勝者とかないです!」


だが空気は止まらない。


原作の“ルート分岐点”が、今ここで発生している。


しかも全員同時。


「俺は退かない」


アークが言う。


「僕もだ」


カイル。


「興味深い」


セシル。


そして全員が、俺を見る。


「……当然だ」


俺も退かない。


アリスが頭を抱える。


「なんでこうなるんですかあああ!?」


俺も聞きたい。



放課後。


学園全体に広まった噂。


“ヒロイン争奪戦”。


原作にはない展開。


物語が、完全に暴走している。


屋上に呼び出された。


そこには、アーク一人。


「二人で話したい」


珍しく真剣だ。


「君は変わった」


「何度も言われている」


「昔の君なら、告白なんてしなかった」


その通りだ。


「怖くないのか?」


「何がだ」


「拒絶されること」


静かな問い。


俺は少し考えた。


「怖い」


本音。


「だが、言わずに後悔する方が嫌だ」


アークは目を細める。


「……羨ましいな」


「?」


「僕は王子だ。常に正しく、常に余裕であるべきだ」


完璧な笑顔の裏側。


「でも彼女の前では、余裕が消える」


小さく笑う。


「だからこそ、本気だ」


宣戦布告、再び。


「勝負だ、レオン」


「望むところだ」


拳を軽く合わせる。


これは敵対じゃない。


本気の、対等な戦い。



その夜。


再び襲う頭痛。


今までで一番強い。


視界が歪む。


闇に染まるレオン。


ヒロインを失い、孤立し、魔力に呑まれる未来。


そして——


アリスが、誰も選ばずに学園を去るエンディング。


「……違う」


息が荒い。


物語の強制力が、最後の修正をかけている。


“誰も選ばないノーマルエンド”。


それだけは。


「認めない」


俺は拳を握る。


この世界はゲームじゃない。


アリスはNPCじゃない。


俺も、シナリオの駒じゃない。


「選ばせる」


彼女に。


そして俺も、選ばれる。


強制力が強まるなら、壊すだけだ。


月明かりの下、俺は立ち上がる。


クライマックスは近い。


恋も、友情も、運命も。


全部まとめて叩き壊す。


——ヒロイン争奪戦、正式開戦。

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