トカゲはファンタジーで銃は反則だと異議申し立てをいたします
引ったくりを追いかけたら銃で撃たれたトカゲ娘は死にました(棒)
---ドゴォォォォーン---
私は胸に受けた衝撃で飛ばされ後ろの壁に叩きつけられた。男の持った握りての付いた筒状の物体……まぎれもなく拳銃。私が映画とかでよく見た物とだいぶ違うけどそんな印象を受けた。蒸気の抜けるような鋭い音を出しながら幾何学的な模様の入ったパイプのような物が通った黒い拳銃。その銃口から…そして上に向いたパイプの先から勢い良く赤紫の煙が噴出している。
---カキン---
という音とともに、拳銃から何かがはじき出され地面を転がる。それは黒ずんでいるが……私の見たことのある……魔石だった。そのケモ耳の亜人の引ったくりは慣れたような手つきで、新しい魔石を取り出し拳銃にこめる。私は咄嗟にまだ痺れの残る胸を両手で触り確認する。胸に何かがめり込んでいる。銀色のへしゃげた金属……衝撃で潰れているが、私の藍色の鱗にめり込んでいる。あ、ちょっと血が…そうだリザードマンの血って青かったなあ……ってメチャメチャ痛い!ってか今更痛くなってきた!
私はその潰れた銀色の金属を胸から掘り出して地面に捨てる。胸からは青い血を垂れ流れている。あーくそ、ファンタジーなのに銃だしてくるとか反則だろ。トカゲボディじゃなかったらハートブレイクしてましたよ!
「な、……化物が!」私がピンピンしてる事に驚愕の顔を浮かべた亜人の男は再度銃口を私に向けてくる。女の子(?)相手に銃持ちだすとかもう許さねえからなあこの野郎!
私は息を大きく吸う。コポコポと言う感じはないがおそらく大丈夫だ。前もレーザー出たし、くらえ!ブレス!!
だが吐出されたのは紫色にキラキラ光る煙だった。それがあたりに勢い良く立ち込める、路地裏をその煙が覆い視界もさえぎり…それだけだった。男は驚いたものの特にダメージは受けてないようだ。あれ、おかしいぞ?酸性の煙でもないし、レーザーでもないぞ…あれあれ?
「驚かせやがって!死ね、トカゲ野郎!!」亜人の男は引き金を絞り…。
「わあ、ちょっとタンマタンマ!話しあいまし…」
男は躊躇なく引き金を引いた。銃口の先が光り…。
直後、凄まじい爆音と共に視界が真っ白になる。自分の体が宙を舞っているのを感じる……。く、だがトカゲ平衡感覚は無事だ。私は地面に当たる瞬間に咄嗟に尻尾を叩きつけ衝撃を和らげる。もう飛ばされるのは慣れっこだ。
辺りはバラバラと破片が降り注ぎ、細かい破片が視界を遮る。見渡すと、地面は抉れ、路地裏の家々は爆弾テロが起こったかのように崩壊していた。
「何が起きたー!?」
「うわ、トカゲのモンスター!」
「ようし、構えろ!!」
全身ピチピチスーツの大群が…もしかしてこの町の衛兵かな?持っているのは…銃口のついた大きな……何?ライフル?マシンガン?え、ちょっと勘弁してください。そいつらは私にその大きな銃口を私に向けていた。
「ち、違います!私は奴隷です、ほら首輪も……あれ?」首輪はなかった……しかも服は千切れ飛んでほとんど裸に近い状態だった。うわああああああ恥ずかしい!!さっきの爆風で全部吹っ飛んじゃったわーひえええええ。
「うわあ、しゃべったぞ!」
「う、動くな!動くと蜂の巣にするぞ!」
「手を上に上げろ!抵抗するな!!」
私は衛兵たちに連行される。あの、裸に近いんでその大事な所を隠したいっていうかなんていうか……え、駄目?両手は絶対上?そうですか撃たないでくださいお願いしますなんでもしますから。
私は町を歩く人々にジロジロと連行シーンを見られる。あ、ちょっと快感……いえ、私はノーマルです!!
私は大きな建物に連行され檻に入れられる。またこのパターンだよ。
「よーしトカゲ野郎、まずはお前の罪だ。魔力による大規模な爆発。それに伴う家屋破壊と大勢の怪我人も出ている。釈明はあるか?」
「えっとそのですね、引ったくりを追いかけたら銃で撃たれてそしたらその…。」
「衛兵長!壁に人型にへばり付いていた肉片の調べが終わりました。亜人のようです。損傷が激しくそれ以上はわかりませんが現場にこれが…。」駆け込んできたピチピチスーツ衛兵が何かを衛兵長に渡す。それは壊れているが……あの引ったくりが私に向けてきた拳銃だった。
「よーし、判決を言い渡す。死刑だ!!」ちょおま、そんな権限が!?裁判ぐらいしてくだしゃい!
「いやいやいや、私はエルノールっていうギルド員の奴隷です!確認をとっていただければすぐに…。」
「適当な事を!全員構えろ!!」衛兵たちが大きな銃を構えて銃口を向けてくる。いやだー死にたくなーい!!オーダーメイドの服もできてなーい!!
「おいおい、武器を下ろしな。そいつと話がある。」
「あ、リゴール殿!」
『敬礼!!』衛兵たちが敬礼をする。今リゴールって…。
「よう、だいぶやらかしたみたいだな。まあしばらくしたらエルノールの奴も来るよ、安心しろ。ガハハ!」髭をさすりながらリゴールは高笑いした。
よかった話のわかる人が来てくれた。ってかアンタ結構偉い人なんだね。リゴールの指示で他の衛兵たちは席をはずす。しばらくするとエルノールもやってきた。いつもいつも苦労かけますねー。だが私は謝らない!だって悪いことしてないもん!!
私はさっき起こったことをくわしく話した。引ったくり・拳銃・紫のブレス・大爆発…。
エルノールは少し考える素振りを見せ、こう言った。
「おそらく魔煙反応爆発だろうな。」
「マエン…何?」
「お前が吐いたブレスは、おそらく純粋な魔力の濃縮煙だ。その中でその亜人が魔石を反応させたため連鎖的な大爆発が起きたんだ。魔石鉱山でよく聞く事故だな。」うーん、つまり気化したガソリンの充満した所でタバコに火をつけたってとこかな?
「それによう、この武器だぜ。」リゴールが壊れた拳銃をエルノールに手渡す。
「魔石の反応でミスリルの塊を発射する改造武器か。これだけのものを普通の泥棒が持っているわけがない。おそらくは…。」
「盗賊ギルドか…やれやれだぜ。」
うーん、話が見えないけどようするにヤクザ的なアレですか?カタギにホイホイ銃撃つヤクザとかやめてくださいよほんとに。その後は、リゴールのコネが働いたのかすんなりと牢屋を出られた。私が裸なのを恥ずかしそうにしているとエルノールがスッとローブを差し出してくれた。ちょ、やさしいねアンタ……惚れてまうやろー(はぁと)。あ、やっぱこのローブちっちゃいわ…。
「ねーねー、盗賊ギルドって何?」外で歩きながらエルノールに聞く。
「誘拐・殺しなんでもありの連中さ。ここの町では貴族や衛兵も見て見ぬふり…どころか賄賂を貰ったり、協力関係にあるやつもいる。」ひえええ、怖いなあ。帰ったら戸締まりしとこ。
「この町ではああいう武器が主流なの?」
「ああ、魔矢器か。普通の物は、魔石から抽出した魔力の塊を発射する者だ。だがあの改造魔矢器は、魔石の反応でミスリルを撃ちだす改造がされていた。魔石一個分のエネルギーをすべて一発に注ぎ込むタイプだ。普通の魔矢器では効果の薄い対大型モンスター用だな。普通の人間が受ければ衝撃で粉微塵だ。」……トカゲボディでよかったー。ラミアにしてくださいとか言ってごめんなさい、リザードマン最高ですハイ。
「それとテギル。身の回りには注意しろよ。」
「え、何で?」
「盗賊ギルド員を殺したんだ。お前は目立つからもう情報はまわっているだろう。お前を狙ってくる可能性があるからな。」
ちょ、おま!なんだそりゃ。こちとら善意でやったのになんでそんな殺し屋集団に付け狙われる的な感じになるんですか!?政府による電磁波集団ストーカー的なあれですか?電磁波によって精神混乱を起こして殺すのですか、防護策で全身にアルミホイル巻かなきゃ!ひえええええええ!
私はエルノールと共に契約してあるという宿に向かう。ってか胸の穴も治療したいんですがそれはスルーですか?ってかもう血も止まって塞がり始めてるけど。トカゲ治癒力万歳♪
「……あいつだ。」
「……舐められたもんだぜ。」
フードの男とトカゲのモンスターを尾行する。謎の影があった……。




