2ー1
陽キャなのに、ヨーヨーにハマっているのがゴローと碧。
あたしとみっちぃは不思議そうにその姿を見守っている。
「見て見て。イヌの散歩」
「地味じゃん」
そうは言ったものの、せっかくゴローが芸を見せてくれたのだからフォローはしておかなければならない。
なぜならそれが、彼女としてのつとめだからである。
「でも、すご〜い。ほかにはなにができるの?」
そう聞いたら、よくわからない単語と技をガッツリ見せられてしまった。
碧はまだ、ゴローほど技ができてなくて、うらやましそうに眺めている。
「ねぇ、あたしでもできるかな?」
「あ、ねぇ。昔、ヨーヨーの糸の部分がチェーンだったドラマがあったの知ってる?」
突如としてみっちぃが割り込んできたけど、気にしない。なんならあたしにヨーヨーができる気がしないからだ。
「なにそれ? おもしろそう!!」
「原作は漫画だったらしいんだねど、そのヨーヨーが武器だったんだよね」
「へぇ〜? みっちぃよくそんなの知ってるねぇ」
あたしが褒めると、みっちぃは満面の笑顔でこう答えた。
「たまたま先週の日曜日に物置を片付けていたらさぁ、そのヨーヨーのパチモンが出てきたんだよ。お母さんが昔雑貨屋で買ったんだって」
マジか。しかもパチモンかよ。
「それで? みっちぃのお母さんはヨーヨーできるの?」
「それができないんだって」
じゃあ、なんでそんなの買ったの? ってゴローが聞いた。
「それがさぁ、持ってるだけで強くなれそうな気がしたらしいんだよ。微笑ましいよね」
微笑ましいけど、そうまでして強くなりたかったんだな。その気持ち、わかるよ。
「じゃあ俺も頑張ってヨーヨーの技磨いて、いつかそのチェーンのヨーヨーを譲ってもらえるようにはげむよ」
「ごめん、碧。お母さん、そのヨーヨーすでに捨ててしまったのよ。だから、もうないの」
オーノォーと碧が悲しみの声をあげる。
「ま、いっか。技を磨くことが目的だからね」
そう言ってけらけらと笑う碧は、これからもヨーヨーに励むことになりそうだった。
つづく




