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一寸法師ですが、王子すぎて困ります ~鬼王様と親しみやすさを研究中です~  作者: 月城琴晴


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第2話 LOVER'Sは恋人募集中だと思った

 一寸は鬼ヶ島へ引っ越した。


 まず最初に、事務所へ行くことになった。


 ……そういえば。


 事務所の名前って何だったっけ?


 俺は少し考えて、それから近くにいたマネージャーへ声をかけた。


「なあ、赤ずきん」


 赤ずきんこと、赤城あかり。


 今は親しみ隊のマネージャーをしている。


 実は、狼の彼女だ。


「なあ、事務所の名前って何だっけ?」


「LOVER'Sですけど」


「え?」


 俺は思わず聞き返した。


「それって恋人募集中なのか?」


「いや、違うでしょう」


 赤城あかりは即答した。


「応援してくれる人を大切にしたい、という意味でしょう」


「そんな馬鹿な」


 俺は少し考えた。


 ……じいちゃんに言わなければ。


 そして、俺はすぐにじいちゃんへ連絡した。


 俺一人では抱えきれない問題だった。


「じいちゃん、仕事中に悪い」


「どうした」


「ちょっと聞いてくれ」


「うむ」


「事務所の名前がLOVER'Sだったんだ」


「ほう」


「英語で大文字だ」


「今、看板を見たら本当に英語で大文字だった」


「恋人募集中みたいじゃないか?」


 電話の向こうで少しだけ沈黙があった。


 そして。


「私もすぐに恋人募集中だと思ったぞ」


「だよな!」


 俺は思わず声を上げた。


「おかしいだろう」


「うむ」


「何だ、そのラバーズというのは」


「恋人募集中じゃないか」


「赤ずきんは違うと言っていた」


「応援してくれる人を大切にしたいという意味らしい」


「なるほど」


「でも混乱するよな?」


「するな」


「俺だけじゃないよな?」


「安心しろ」


「私もそう思った」


 良かった。


 俺だけではなかった。


「まあ、そういう名前なら仕方ないんだろう」


「そうだな」


「大丈夫だ」


 じいちゃんは力強く言った。


「ファンクラブの名前は格好いいやつだからな」


「ああ」


 俺も頷いた。


「全国一寸親衛隊だろ?」


「そうだ」


「安心だな」


「格好いいしな」


「ああ」


 二人は電話越しに頷いていた。


「それに親しみ隊は格好いい」


 俺は言った。


「うむ」


 じいちゃんも頷く。


「最高のセンスだ」


「ああ」


 二人は深く頷き合った。


 価値観が完全に一致していた。


「事務所の名前だけは許してやろう」


 俺は言った。


「そうだな」


 じいちゃんも同意した。


 LOVER'Sは少し分かりにくい。


 だが、親しみ隊は格好いい。


 全国一寸親衛隊も格好いい。


 だから良しとしよう。


 俺達は寛大だった。


 そして、事務所へ向かった。


 中へ入ると、猿田がいた。


 猿田彦次郎。


 桃太郎の猿だ。


「何で猿田がいるんだ?」


「だって、ここに住んでるし」


 猿田は当たり前のように言った。


「事務所で仕事しながら住むんだよ」


「就職したんだ」


「ここに住んでた方が、夜でも対応できるだろ?」


 なるほど。


「それに、桃太郎団子の店主代理もする」


「ああ、桃の代わりな」


 忙しそうだな。


「えっと、一寸」


 猿田が書類を見ながら言った。


「ファンクラブの名称も書いてくれ」


「全国一寸親衛隊」


 俺は迷わず答えた。


 猿田が書き込む。


「それから、こっちも手続きな」


 俺は書類を書き終えた。


「寮の鍵。これな」


「ありがとう」


 俺は鍵を受け取った。


「しかし、一寸のファンクラブって全国一寸親衛隊なんだな」


「そうだけど?」


「他の人はどんな感じなんだ?」


 猿田は資料を見せてくれた。


 鬼ヶ島雷堂 鬼王組


 鳥山雉太 鳥山教


 森山狼 O-KAMI


 堀川一寸 全国一寸親衛隊


「親衛隊だけ方向性違わないか?」


「気のせいだ」


 俺は即答した。


「ちなみに、桃達は」


 猿田は続きを見せた。


 山野桃太郎 MOMO


 鬼ヶ島朱羅 Prince's Room


 鬼屋雷牙 RAIGA'S


「それと茜ちゃん」


 鬼ヶ島茜 鬼姫陣営


「こんな感じだけど」


「ちなみに桃のラバーズ(MOMO's Lovers)は事務所とかぶるから、MOMOにしたんだって」


 俺は資料を見た。


 しばらく考えた。


「……全国一寸親衛隊も格好いいな」


「そうか?」


「そうだ」


 やっぱり、じいちゃんのセンスは最高だった。


 ただ、LOVER'Sは何か隠している気がする。


 恋人募集中。


 それだけの意味とは思えない。


 絶対に他に何かある。


 俺は危険な香りを感じていた。


最後まで読んでいただき、ありがとうございます。


事務所の名前は少し怪しい気がしますが、全国一寸親衛隊は格好いいと思います。


あと、親しみ隊も格好いいです。


鬼王様もいるので安心です。


たぶん。


次回もよろしくお願いします。


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