【第22話】クラス別大会模擬戦③
簡単に昼を済ませ、クラス別大会模擬戦午後の部に移行した。
午後最初のクラスは魔術師だった。ローメルが言ってた通り、的に向かってどれだけ威力が高くて、規模の大きな魔法を放てるかで競い合うようだ。
遠巻きにローメルの姿が見えたが、何かえらく格好つけて気取っている。いつもの調子と言えばそうだが……。そんな調子のローメルにもっと気取って、というよりはいかにもお高くとまっているといった感じの男が話しかけてきていた。
「ローメル・マーシウス! 今日こそは僕が勝たせてもらう!!」
どこかで見た顔……確かガストンのパーティーの魔術師だ。名前は思い出せない。少なくとも確か貴族だったはず、ローメルに対しての対抗意識はそこからなのだろうか。
しかし、ローメルは気にしていない、というよりは聞こえていないのではないだろうか。周りがどうであるとかには興味がなく、自分がどう見えるか、を気にするのに夢中といったところだろうか。
「また僕を無視するのか! 覚えていろよ!」
「ん、今何か聞こえたような」
ガストンパーティーの魔術師が去っていくときの捨て台詞でローメルが振り返ったが、もう去った後だ。ローメルは少し首を傾げて、不思議そうな顔をしたが、すぐにまた格好つけることに集中しだした。
「ファイアボール!!」
始まった魔術師の部、例の魔術師は的に対してかなり大きな火の玉を放った。その火の玉は的に直撃し、的が砕け、飛び散った破片が燃え燻ぶっている。
「これで優勝はぼくのものだーー! ローメル・マーシウ」
「エクスプロージョン」
例の魔術師の勝利宣言に重ねるような形で、ローメルの真っ直ぐで、落ち着いていて、それでいてよく通る声で魔法を唱えた。
魔法を唱えるのに合わせて、ローメルの構えた杖から煌めく光のようなものが的に飛んで行った。的に当たった瞬間、世界が静寂に包まれた気がした。直後、強烈な光と爆発音が響いた。
「まあ、僕にかかればこんなものかな」
爆発によって巻き上がった土埃が落ち着いた後、的があったところには何もなかった。ローメルの圧倒的な火力と規模の爆裂魔法によって、跡形もなく消し炭になったのだ。
「え?」
「は?」
会場は理解の不可能さからくる呆気にとられた声があちこちから聞こえ、小さなざわめきが起きている。少し経って、ようやく理解が及んだのであろう、会場から驚愕、感嘆、羨望の声が上がった。妬みや嫉みが入る余地はないほどに圧倒的な才なのである。
ローメルは当然という表情をしつつも、明らか浮かれている。いつも以上に1つ1つの動作が格好つけているのがよくわかる。
「優勝! ローメル・マーシウス!」
メティスと同じく、優勝は明白であったが、正式に集計を終え、ローメルの優勝が宣言された。




