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【本編完結済】殺戮の皇女  作者: イチノセ
127/160

126  終幕へのソナータ - 10

【花影のさくら】

https://ncode.syosetu.com/n7959ie/

完結済みの小説です!

お時間がある時に、ゆっくり読んでいただけると嬉しいです!

「さて、どうしましょうか」




レイエンフィリアの一言に、薔薇園に集まった面々は視線を彼女に向けた。


第3皇女レイエンフィリア。

転生者は九龍院玲華。


彼女の側近、キリルザード。

転生者は九龍院暁人。


第1皇子エイルワード。

転生者は九龍院秀夜。


第1皇子の側近、アーノルド。

転生者は九龍院洸一。


ラ・ステッラ。キースフェリド。

転生者は九龍院修二。


イル・バガット。イーシュ・ヴァンテレン。

転生者は九龍院桐人。


ベンクの元恋人・アーミィ。現在はパルフィ。

転生者は九龍院鏡花。


聖女、シシィ。

転生者は九龍院美沙夜。


そして、非転生者のアラド、ベンク、マリンの3名。




「よくも、まぁ。こんなにも……」


「いやー、っはっは!いとも容易く死んだねぇ、みんな!」


「イル・バガット?今すぐそのよく回る口を閉じないと物理的に縫い付けますわよ?この私直々に!」


「シシィくんはなんでそんなに僕に当たりが強いの……」


「存在が目障り……じゃなくって、いるだけで空気が汚れる……でもなくって、視界に入っただけでイライラする……は言い過ぎ……?でもないけど」


「いや言い過ぎだよね!?」


「兄さん」


「…………!!!なんだい、我が愛しの弟よ!(ひょっとして助け舟かな!?さっすがぁ!)」


「うるせぇ」


「……ぅぐ…………はい」




青菜に塩というか、塩をかけたナメクジというか。しおしおとイル・バガットが小さくなっていく。




────この兄弟は元気だなぁ。




なんて、ぼんやりと玲華が思ったところで。




「桐人様には引っ込んでいていただいて「ねぇ、やっぱ当たり強くない……?」……この後の算段はどうなっているのでしょう?「無視……」新参者ですので、共有していただけると」




挙手して鏡花が言う。

鏡花も桐人に当たりが強いらしい。


桐人の所属していた情報解析部隊というのは、戦闘の作戦立案をしたり、立案するための事実確認をしに走り回ったりする部隊だ。

けれど桐人だけは特別扱いで、美風や玲華の通っていた学校で科学教師を勤めながら、『噂好きの生徒から噂を集める』のが仕事だった。


鏡花が桐人を毛嫌いするのはここが理由だ。鏡花の九龍院家内での親友もまた、情報解析部隊の所属なので、


『なんで親友は事実確認のために遠方まで出張してるのに、アンタはずっと学校に居るのよ?アンタも走り回りなさいよ』


という嫌い方である。


ちなみに美沙夜はの嫌い方は完全に『なんか嫌い』という嫌い方だ。これはもうどうにも出来ない。




「まず【目的】。これは簡単、転生者全員で無事に帰還、以上!」


「だから黙っててください」




鏡花が睨む。なぜこんなにも自分が嫌われて除け者にされているのか、桐人には皆目見当もつかない。マジなんで?




「次に【手段】ね」




これは玲華が言った。




「これがまだ明確に『これが作戦!』と言えるものがない状態よ。シルヴィオの力を借りるにしても、“どう借りるか・何を借りるか”。それすら決まっていない」


「なるほど。事情を全く知らない私だから聞くんですけど──【世界そのものごと】壊してしまえないんです?」




…………

……………………

………………………………

…………………………………………


呆然。


そう、呆然とした。

または唖然とした?


どっちだって大して変わらないけれど。


嗚呼、なんだ。それも“考えていいのか”。




「【神】とは【人間】あっての【神】です。人間がいなくなれば神も消える。人間なくして神は神たり得ないから。どうです?」


「神話の再来、ですね?」




エイルワードが言った。

彼は神話を正しく知っている。


「神話?」と問うてきた鏡花に、シシィの口から解説が為される。




「──というわけで、鏡花さんの考えだと彼女の思う壺だと思うんですけど、どうです?」


「私はいいと思うけれど」




そう言ったのは他でも無い、玲華だった。


シシィは驚きの目で彼女を見る。




「玲華?」


「いや、別にヤケクソになって言ってるとかじゃなくてね?だって、ほら」




玲華はにっこりと笑って言った。




「勝ちを確信した敵ほど、無防備な獲物は無いでしょう?」




────これぞ殺しの天才。




流石だなぁ、と思いながら、暁人もまた笑顔で同意した。暁人が同意したならば、話の方向は自ずと決まってくる。




「この【世界】は、いわばジオラマのようなもの──シシィ、間違っていないわよね?」


「はい。私は遊戯盤と例えましたが、ジオラマでも同じことです。【枠】があり、その中に【世界】がある。その【枠】の中で、私たちはそうと知らずに生きている」


「──であるならば、やることは単純よ。【世界】の果て、ジオラマの【枠】に【神々の泥】が到達してしまえば、あとはもう溜まっていくだけ。泥が満ち満ちるのを待って、彼女のお望み通り、この【世界】からもう一度人間を消す」




要するに長期戦だ。


張った結界は解除して泥を迎え入れる。城の中にも泥は満ち、余すことなく灯火は消えるだろう。


どうせ、この世界がどうにかなったところで、彼らがその後生きていける環境はどこにも無い。


なら結局、行き着く先は彼女の望みが叶うだけなのだ。




「──シルヴィオは、彼女を倒すことになっても……その、構わないのか?」




暁人がシルヴィオの鱗に触れながら問う。


──愛する人を、殺す覚悟は?




【──玲華は私に言った。『当たり前に組み込まれた狂気と永遠の皇国、偽物の楽園。表面に騙された、美しいだけの理想郷を終わらせよう』と。──僕はね】




綺麗な瞳をゆっくりと閉じて、シルヴィオは言う。その表情が微笑んでいるように見えるのは、気のせいだろうか。




【僕は──】




はやく、終わりたいんだ。


その笑顔は、ただただ純粋に、希望に満ちた笑顔だった。




「──っ」




鏡花をはじめ、シルヴィオを初めて見た面々は目を見開く。


彼の望みは、【終わり】。




「──みんな、聞いての通りだ」




この場で最も序列の高い男、暁人が微笑みながら言う。




「僕たちは常に、大義名分のもとに血に塗れる。法の網を掻い潜り、重箱の隅をつつくように罪を犯す人間を。善良に生きる人間から金を搾り取り、無知な下っ端の人間を泳がせ甘い汁だけを啜る人間を。正しく生きる人間が、【正しく“生”を全うできる】世界のために血を纏う。それが俺たちだ。忘れてはいないだろう?」




全員の表情が引き締まり、無言の頷きが広がる。




「叶えるべき大義名分はここにある。俺たちはシルヴィオを大義名分とし、【神を人間の座に引き摺り落とす】」

桐人くん。

某超有名アニメの主人公みたいな名前ですが、読みは『キリヒト』です。ちなみに暁人くんは、アキトと読んでいる方が多いかもしれませんが(別にそれでもいいけど)一応正式には『アキヒト』くんです。変換しようとすると天皇の名前が出てきますが、アキヒトです。


こだわりは特に無いので、『アキト・キリト』と読んでいただいても全然問題ありません。私の趣味です。(乙女ゲームのキャラに暁人『アキト』と言うキャラがいたので、私の中で別人になってくれるように読みを変えているだけですので)


次回の更新は2週間後の7月2日、12時です。

よろしくお願いします!

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