4 行動
それからしばらく悶々とした日々が続く。小説を書いてもいまひとつ身が入らない。折りしもその頃、自身初の短編にチャレンジしており、煮詰まったらフリーゲームを遊ぶ、無理にでもモチベーションを高めて執筆にかかる。だが、どうにも頭の中をあのゲーム製作ツールの数々が過るのである。
自分に使いこなせないのは分かっている。それはフリーのレタッチソフトを使って経験済みだ。中には十万円近くする高価なレタッチソフトと同等の性能を持つフリーソフトも存在するが、これは自分のようなパソコン初心者には敷居の高い代物だ。高機能でなんでもできるということは、それだけ難度も高いということだ。
自分は専ら初心者向けの、機能が限定されたソフトで絵を描いている。素人が投稿するにはそれで充分。いや、実力のある人ならそれでも商業レベルの作品を作れるだろう。
だがゲームとなればその難易度は比べるべくもないのは触れてみなくても分かる。プログラムの組み方なんか知らない。スクリプトの意味さえ知らない。勉強しながら作る人もいるのだろうが、パソコン音痴の上ネット環境もない身の上では如何ともし難いものがある。
しかし、で、ある。何事もやってみなければ分からないのではないか。がんばれば独学で使えるかもしれない。昔の8ビットゲームのエディット機能みたく、短編くらいなら作れるかもしれない。そんな能天気な考えが頭をもたげてきたのである。
その欲求はとりもなおさず自分はゲーム誌に投稿しながら、当時いい歳した大人だったにもかかわらず、いつかゲーム会社に就職して、自分も世に出る作品に関わってみたいという漠然とした夢に起因すると思う。
だからこそ自分はその未練をいまだに引き摺り、ギャルゲーを強く意識したストーリーの作品を書いたりもしたのである。この燻りを昇華させるには、やはり昔の夢に、叶わないまでもチャレンジする他ないのではあるまいか、などと、実に都合のいい動機付けをし始めたわけだ。
そうとなればもう製作ソフトをダウンロードし、触ってみるしかあるまいと思い至った。かくして次にネットカフェへ作業に行く際は、ゲーム製作ソフトを落すぞと心に決めたわけである。
ならば話は早い。さっさと短編を書き上げ、急いで投稿作業に入れるようにしなければ。これが意外にもモチベーションとなり、一本投稿すればよいという予定のところを一気に二本も書き上げ、逸る心を抑えつつネットカフェへ向かうことになったのだ。




