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第29話 狙われる理由

第29話 狙われる理由


 《刻印》の秘密を打ち明けてから数日。


 エリアスは王宮の図書館から、異世界人や固有スキルについて書かれた古い文献を何冊も借りてきていた。


 工房の机には分厚い本が積み重なっている。


「これだけ集めるのも大変だったでしょう。」


 マリカが本を見つめながら言う。


「ほとんどが閲覧許可の必要な文献でした。」


 エリアスは一冊の本を開きながら微笑んだ。


「ですが、調べる価値はあります。」


◇ ◇ ◇


 二人は手分けして文献を読み進める。


 異世界人について。


 固有スキルについて。


 そして、《刻印》という名を探して。


 しかし、同じ能力について書かれた記録はなかなか見つからない。


「やっぱり珍しい能力なんですね。」


「そのようです。」


 エリアスはページをめくりながら頷く。


「ですが……。」


 ある一文で手が止まった。


「ありました。」


「え?」


 マリカも身を乗り出す。


◇ ◇ ◇


 古びた文献には、こう記されていた。


『守護の刻印を授かりし者は、己が大切と認めた存在を護る。』


『その力は絆とともに成長し、危機に際して真価を発揮する。』


『されど、その力を求める者もまた現れる。』


 最後の一文を読んだ瞬間、部屋の空気が張り詰めた。


「力を求める者……。」


 マリカが呟く。


「固有スキルそのものを狙う者がいる、という意味でしょうか。」


 エリアスが静かに考え込む。


 さらにページをめくると、文字はかすれて読みにくくなっていた。


 唯一読めたのは、一文だけ。


『奪わんとする者は、まず守るべき存在を狙う。』


 二人は顔を見合わせた。


「……私ではなく。」


 マリカが小さく呟く。


「エリアスさんが狙われている理由は。」


「あなたを揺さぶるため、という可能性があります。」


 エリアスが

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