第28話 打ち明ける決意
第28話 打ち明ける決意
魔導具のすり替え事件から数日。
犯人は「金で雇われただけ」と証言したものの、依頼主は最後まで明らかにならなかった。
王宮では警備が強化され、納品の手順も見直されることになったという。
それでも、マリカの胸の不安は消えなかった。
《刻印》が見せた光景は、本物だった。
もう偶然とは思えない。
◇ ◇ ◇
その日の夕方。
工房ではエリアスが作業台に向かい、マリカは完成した書類を整理していた。
静かな時間が流れる。
けれど、マリカは何度もエリアスへ視線を向けてしまう。
(もう隠していられない……。)
もしまた危険が迫ったら。
その時、「言えばよかった」と後悔したくなかった。
◇ ◇ ◇
「エリアスさん。」
意を決して声をかける。
「はい?」
「少し、お話ししたいことがあります。」
いつもより真剣な声だった。
エリアスもすぐに表情を改める。
「もちろんです。」
二人は工房の椅子へ向かい合って座った。
「落ち着いて話してください。」
その穏やかな言葉に背中を押される。
マリカは左手の腕輪へ視線を落とした。
「私……この世界へ来た時に、固有スキルを授かったんです。」
エリアスは黙って耳を傾ける。
「そのスキルの名前は《刻印》です。」
そこから、今まで起きたことを一つずつ話した。
エリアスへ刻印を付けたこと。
居場所がわかること。
危険や悪意を感じ取れるようになったこと。
王宮で魔導具が狙われる光景を見たこと。
すべてを、包み隠さず話した。
◇ ◇ ◇
話し終えると、部屋は静まり返った。
「……信じてもらえませんよね。」
小さく俯く。
自分でも信じられないような話だ。
笑われても仕方ない。
そう思った、その時。
「信じます。」
穏やかな声が返ってきた。
マリカは驚いて顔を上げる。
「え……?」
「異世界から来た人が固有スキルを授かることは、古い文献にも記されています。」
エリアスは静かに続ける。
「だから、不思議ではありません。」
「でも……。」
「むしろ、一人で抱え込ませてしまって申し訳ありませんでした。」
責める言葉は一つもなかった。
ただ、マリカを気遣う言葉だけがある。
「怖かったでしょう。」
その一言で、張りつめていた気持ちがほどける。
「……少しだけ。」
目に涙が滲んだ。
「誰にも話せなくて。」
「もう一人で悩まなくて大丈夫です。」
エリアスは優しく微笑む。
「これからは、一緒に考えましょう。」
その言葉に、マリカは何度も頷いた。
◇ ◇ ◇
その夜。
二人は《刻印》について、改めて話し合った。
「誰かを傷つけるための力ではなさそうですね。」
エリアスが腕を組む。
「守ることに特化した能力……そんな印象を受けます。」
「私も、そう思




