第25話 忍び寄る影
第25話 忍び寄る影
リシェリア王女が訪れてから数日。
工房では、新たに依頼された魔導具の開発が始まっていた。
設計図が机いっぱいに広げられ、魔石や金属部品が整然と並んでいる。
「この魔石を持ってきてもらえますか?」
「はい。」
マリカは棚から指定された魔石を取り出し、エリアスへ手渡した。
「ありがとうございます。」
自然に交わされるやり取り。
いつしか二人の息はぴったりと合うようになっていた。
◇ ◇ ◇
その日の夕方。
作業を終えたエリアスは、小さく肩を回した。
「少し疲れましたね。」
「お茶を淹れます。」
「ありがとうございます。」
マリカが台所へ向かおうとした、その瞬間だった。
左手の腕輪が、突然熱を帯びる。
「……!」
思わず足を止める。
頭の中に文字が浮かび上がった。
『刻印対象に対する悪意を感知』
続いて、別の文字が現れる。
『対象を監視する者 1名』
「監視……?」
胸がざわつく。
視界が一瞬だけ揺らぎ、知らない景色が映し出された。
屋敷の外。
木々の陰から、誰かがこちらを見つめている。
黒い外套を羽織り、顔までは見えない。
しかし、その視線だけははっきりとエリアスへ向けられていた。
次の瞬間、映像は消える。
「どうしました?」
エリアスが不思議そうに声をかける。
「い、いえ……。」
マリカは慌てて笑顔を作る。
「すぐにお茶を淹れてきます。」
胸の鼓動は速いままだった。
◇ ◇ ◇
夜。
夕食を終えたあと、エリアスは書斎で資料を読んでいた。
マリカは窓の鍵を確認しながら、何気なく庭へ目を向ける。
誰もいない。
けれど、《刻印》が見せた映像が頭から離れなかった。
(本当に誰かいるの……?)
そう思った時だった。
庭の茂みが、風も




