第23話 初めての胸騒ぎ
第23話 初めての胸騒ぎ
夏の終わりを感じさせる、穏やかな午後。
工房ではエリアスが新しい魔導具の調整を行い、マリカは完成した部品を箱へ丁寧にしまっていた。
窓から吹き込む風が心地よく、庭の木々が静かに揺れている。
「この調子なら、今日中に完成しそうですね。」
マリカが嬉しそうに言う。
「ええ。もう少しで終わります。」
エリアスも穏やかに頷いた。
◇ ◇ ◇
その時、玄関の扉が叩かれる。
「失礼します!」
王宮の使者だった。
「エリアス様。急ぎの依頼が入りました。」
封書を受け取り、内容を確認したエリアスは静かに息をつく。
「王宮の保管庫で魔導具の不具合が見つかったようです。今日中に確認へ向かいます。」
「今からですか?」
「はい。夕方には戻れると思います。」
急な予定変更だった。
マリカは少しだけ心配そうな表情になる。
「お気を付けてください。」
「ありがとうございます。」
優しく笑い、エリアスは王宮へ向かった。
◇ ◇ ◇
屋敷に静けさが戻る。
マリカは工房の片付けをしながら、本を読んだり、庭の薬草に水をあげたりして過ごしていた。
日は少しずつ傾き始めている。
その時だった。
左手の腕輪が熱を帯びる。
「……!」
今までとは比べものにならないほど、はっきりとした熱。
胸がざわつく。
息が詰まるような感覚。
頭の中へ、淡い文字が浮かび上がった。
『刻印対象に接近者あり』
「接近者……?」
さらに文字が変わる。
『刻印対象に対する悪意を感知』
マリカは息を呑んだ。
「悪意……?」
胸騒ぎがどんどん強くなる。
心臓が早鐘のように鳴る。
その瞬間、頭の中に王宮の一角が映し出された。
薄暗い廊下。
その先を歩くエリアス。
そして、柱の陰から誰かが静かに姿を現す。
「エリアスさん……!」
思わず声が漏




