表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
20/35

第20話 初めての刻印

第20話 初めての刻印


 隣町への買い出しから数日。


 工房には、いつもの穏やかな時間が流れていた。


 エリアスは新しい魔導具の設計図を描き、マリカは完成した部品を種類ごとに整理していく。


 窓から吹く風が心地よい午後だった。


◇ ◇ ◇


「今日はここまでにしましょう。」


 エリアスがペンを置く。


「お疲れさまでした。」


 マリカも小さく頭を下げた。


 その時、玄関の扉を叩く音が響く。


「失礼します!」


 元気な声とともに入ってきたのは、王宮の若い騎士だった。


「エリアス様、王宮より追加の依頼書をお持ちしました。」


「ありがとうございます。」


 依頼書を受け取り、内容を確認する。


「また王宮ですか?」


 マリカが尋ねる。


「ええ。」


 エリアスは苦笑した。


「最近は依頼が重なっていて。」


「大変ですね。」


「ありがたいことです。」


 そう言って笑う姿は、少しだけ疲れて見えた。


 マリカはそれが少し気になった。


◇ ◇ ◇


 夕方。


 依頼書を読み終えたエリアスは、そのまま工房へ戻っていく。


「今日中に設計だけ終わらせてしまいます。」


「私も何かお手伝いします。」


「ありがとうございます。」


 二人で並んで作業を続ける。


 静かな時間。


 紙をめくる音だけが聞こえる。


 ふと、マリカはエリアスの横顔を見つめた。


(忙しそう……。)


 無理をしていないだろうか。


 ちゃんと休めているだろうか。


 そんなことばかり考えてしまう。


◇ ◇ ◇


 その時だった。


 胸の奥が、じんわりと温かくなる。


「……?」


 今まで感じたことのない、不思議な感覚。


 左手にはめた腕輪が淡く光る。


 そして――。


 マリカの視界に、一瞬だけ淡い銀色の糸のような光が浮かんだ。


 その糸は、目の前にいるエリアスへと繋がっている。


「え……?」


 驚いて瞬きをすると、光は消えてしまった。


「どうしました?」


 エリアスが顔を上げる。


「い、いえ。」


 慌てて首を振る。


「何でもありません。」


 気のせいだったのだろうか。


 そう思おうとした、その時。


 頭の中へ、静かな声が響いた。


『刻印可能対象を確認しました。』


 誰の声かわからない。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ