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第17話 王女との出会い

第17話 王女との出会い


 実演会は滞りなく進み、多くの来賓が新型魔導具へ興味を示していた。


 会場には穏やかな拍手が響き、緊張した空気も少しずつ和らいでいく。


 マリカは人混みを避けるように会場の端でその様子を見守っていた。


「やっと終わりましたね。」


 エリアスが戻ってくる。


 先ほどまで多くの人に囲まれていたとは思えないほど、いつもの穏やかな笑顔だった。


「お疲れさまでした。」


「ありがとうございます。」


 その時だった。


「エリアス。」


 澄んだ女性の声が二人を呼び止める。


◇ ◇ ◇


 振り返ると、一人の若い女性がこちらへ歩いてきた。


 淡い水色のドレスに身を包み、長い金色の髪を美しく結い上げている。


 気品がありながらも、どこか親しみやすい笑顔を浮かべていた。


 周囲の人々が自然と道を開ける。


 その姿だけで、高い身分の人物だとわかった。


 エリアスは静かに一礼する。


「リシェリア王女殿下。」


 マリカも慌てて頭を下げた。


「お、お初にお目にかかります。」


「そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ。」


 王女は柔らかく微笑んだ。


「顔を上げてください。」


 恐る恐る顔を上げる。


 王女の瞳は優しく、威圧感はまるでなかった。


◇ ◇ ◇


「今年の新型魔導具も素晴らしかったです。」


 王女はエリアスへ笑顔を向ける。


「ありがとうございます。」


「お父様も、とても喜んでいらっしゃいました。」


「そのお言葉だけで十分です。」


 二人のやり取りから、以前から面識があることが伝わってきた。


「ところで。」


 王女はマリカへ視線を向ける。


「こちらの方が、新しい助手さんですね。」


 マリカは緊張しながら頷く。


「マリカと申します。」


「よろしくお願いします。」


 王女は嬉しそうに笑った。


「エリアスが助手を迎えたと聞いて驚いたんですよ。」


「え?」


「今まで誰かをそばへ置くことなんて、一度もありませんでしたから。」


 その言葉にマリカは目を丸くする。


「そう……なんですか?」


 思わずエリアスを見る。


 エリアスは少しだけ照れたように笑った。


「一人でも困っていませんでしたから。」


「ふふっ。」


 王女は小さく笑う。


「でも最近のエリアスは、以前より柔らかい表情をするようになりました。」


「殿下。」


 少し困ったように名前を呼ぶエリアス。


 その反応がおかしかったのか、王女は楽しそうに笑っていた。


◇ ◇ ◇


 しばらく談笑したあと、王女は優雅に一礼する。


「またお会いしましょう、マリカ。」


「はい。」


「エリアスのことを、これからもよろしくお願いしますね。」


「……え?」


 思わず戸惑う。


 すると王女は悪戯っぽく微笑み、それ以上は何も言わずに立ち去っていった。


 その後ろ姿を見送りながら、マリカは首を傾げる。


「どういう意味だったんでしょう……。」


「殿下は、時々ああいう言い方をされるんです。」


 エリアスは苦笑する。


「深く気にしなくて大丈夫ですよ。」


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