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冴えない俺が、何でも教えてくれる魔法を手に入れたけど……  作者: 弐屋 丑二
高位存在による介入の損失計算と立て直し

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大きな分岐点が三点

 女神と共に持ち帰りできるライスボールや干し肉干し野菜各種ジュースなどを買って、島へと飛んで戻り、小屋へ行くと、リースがベッドで寝ていた。サナーの分身は居なかったが、森の中で水浴びしているようだ。小屋の外でシートを広げて女神と並んで遅い昼食を食べ始める。

「サナーちゃんもったいないなあ。3年後には、いい女になってるのに」

「ここで聖者修行したらですか?」

「うん。色んなレアスキルも習得できるのよ?聖者修行って前半は教会の審査と監視で、後半のここが本番だからね」

「……瞑想で?」

女神はニヤリと笑うと

「想像以外何もないってことは全てがあるってことよ。起こらなかった過去のイベント、これからの無数の可能性、夢想することができる」

「……よくわからないですけど」

ライスボールを齧る。塩がよく効いている。女神は青空を見上げ

「あなたには全てが繋がっている。死んでもね。水分は空気中に混ざり、身体は分解して土に混ざり、焼かれたなら灰は空を舞い、大地に海に落ちる。あなたに子供がいなくともあなたの記憶は誰かの脳の片隅に残る。忘れ去られるなんて嘘よ。時間は一方通行ではないもの。映像記録は頻繁に修整され、死の間際まであなたの意思は過去に影響を与え続ける。できなかったことも、やれたことも全て見ている私が受け止めて祝福してあげる。だから安心しなさい」

「ポエムですか?」

女神は噴き出すと

「高次元的心情吐露って感じかなあ」

「シーネさん、倒すんですか?」

女神は干しブドウを口に入れると

「抱きしめてあげるって感じ。高次元人の喧嘩ってそんな感じよ。抱きしめ合いね」

ずっとよくわからないことをのたまっているが、多分この邪神なりに何か辛いんだろうな……などと適当に考えつつ、横で昼飯を食べる。


 女神はある程度食べると

「ほぼ全ての元凶だったビッグニャンニャンの未来への因果を解いたから、ヘグムマレー君の因果もだいぶ解き易くなってるけど……うーん……何処が良いと思う?」

「何処……?」

「大きな分岐点が三点あるのよ。聞く?」

黙って頷くと女神は真顔で

「一つ目は、二年と半年後のウィズ王国ヘグムマレー邸の庭での決戦ね。反乱軍二十万の軍勢と王都に攻め込んだサナーちゃんとエアーちゃんにヘグムマレー君が討たれるわ」

「ヤベー未来ですね」

俺が考えても仕方ないので相槌を打つしかない。女神は更に

「二つ目は、一年七ヶ月後のミャーマちゃん妊娠発表時の暗殺よねえ。大群衆が集まった王城のバルコニーでパアンって弾けて、隣で目撃した国王が廃人になります」

「……楽しそうに言わないでくださいよ」

女神は緩んだ笑顔を頑張って真顔にしながら

「三つ目は、三時間後のサナーちゃんお風呂で大号泣事件よ。ナラン君に見捨てられたって勝手に思い込むわけですよ。何度かあったでしょ?サナーちゃんたまに超メンヘラモードになるから。そこからエアーちゃんと意気投合するのね」

俺は大きく息を吐いて

「全部止めましょう。過去とか未来とか難しい話は分からないですけど、全部止めればいいわけですよね?」

女神はサッと立ち上がると

「よろしーい。じゃあ、今度は近い未来から解決してみましょうか!」

そう言った。

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