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冴えない俺が、何でも教えてくれる魔法を手に入れたけど……  作者: 弐屋 丑二
高位存在による介入の損失計算と立て直し

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姫とは何度かお会いしましたね

 俺の黒装束を着たままのフタバに連れられて応接間に入ってきたニャンギエフは上機嫌にテーブル越しの席に並んで座り

「ナラン・ベラシール、リース姫の婚約者だにゃ。今は聖者島の警護してるにゃ」

早速、フタバに伝えられた名前だけで俺を特定してきた。流石悪人、記憶力は良いようだ。

「そうですね。ニャンギエフ・フェルムビッチ大司祭。傭兵会社ではお兄様にはお世話になっています」

知っている関係者をチラつかせてみるとニャンギエフは明らかに動揺した表情になり

「おっ、お兄ちゃんが会社の先輩だったにゃ。とっ、当然知ってるにゃ」

フタバは笑いながら

「ニャンちゃんは、お兄様達に弱いの」

ニャンギエフは咳払いをすると

「そんなことは良いにゃ。ナランさん、僕は君が超高レベルなのは分かってるにゃ。それにすげー悪い組織に雇われてるっぽいのも本当だにゃ。フタバもそう言ってきたにゃ」

俺は黙って頷く。ニャンギエフは偉そうに顎を上げて俺を見て

「僕は教皇になって世界を支配したいにゃ。きっとナラン君とその組織なら手伝ってくれると思うにゃ」

途轍もない悪の欲望をはっきり言ってくる。きっとフタバがナランは信用できるなどと言ったのだろう。それにニャンギエフと結ぶのも女神の意思なのだろう。あの出しゃばり邪神がまだ口を挟んでこないところを見ると。


 俺はできるだけ重々しく

「うちのボスは、ニャンギエフ大司祭のことをとても気に入っています」

ニャンギエフの猫目が大きく開く。事実だから仕方ない。俺は更に

「ボスは大司祭に、大きく育って欲しい。とも言っています」

これも言っていた。次期教皇はシュマリアにしたそうだったが……。ニャンギエフは猫フェイスが満面の笑みになり

「にゃんだ、味方だって早く言ってくれにゃ。今日から君は僕とパートナーだにゃ。ボスによろしく言っといてくれにゃ」

俺が黙って頷くと、扉が開いて大きな皮ケースを持った猫人メイドが入って来てテーブルの上でそのケースを開いた。


 中には金の延べ棒がぎっしり詰まっていてニャンギエフは上機嫌で

「持っていってくれにゃ。僕からの契約金だにゃ」

俺が断る前にフタバが

「ニャンちゃん、ナラン様はお金欲しがってないよ。ニャンちゃんと会いたかっただけみたい」

「ウニャ。それは失礼したにゃ。しかしナランという名前は他でも聞いた気がするにゃ……何処だったかにゃ……」

多分2回くらい大天使として接触した時名乗ったと思うが、ニャンギエフもフタバも思い出せず、話を終えた俺は屋敷から帰ることになった。


 島に帰ろうかと教都の端まで歩いていると隣にシスター服姿の女神が合流し

「一気に悪い方向の因果が消えたわ。上出来よ」

「……よくわからないですけど、成功したんですよね?」

「そうね。次はヘルムマレー君関連の因果を修正するため時間旅行……と行きたいところだけど……」

女神が背後を振り返ると、遠くの建物の陰から

「もう我慢できない!ナラン様!その女は誰!?」

派手な着物姿のフタバが叫びながら駆けて来た。尾行されていたらしい。

「バケネコ族は愛憎が深いからねえ」

「女性は間に合ってますって……」

リースだけで十分だし、一応サナーも居る。女神は頷くと

「ちょうど宿屋に居るローウェル君に紹介しましょう。フタバちゃん四十二の熟女だからね。お肉もいい感じについてるし」

「大丈夫なんですかね……姉妹のミツハ姫ダメでしょあのおっさん」

その時の俺はローウェルのぽっちゃり熟女好きを甘く見ていた。


 宿屋の宿泊室では、窓の外に煙草の煙を吐き出しながらローウェルが休んでいた。扉を開けた俺達を見るなり

「おいおいおい女神やりやがったな……引き離したのか」

両目を見開き、俺の腕をがっしり握ったフタバに近寄り

「ローウェルです。姫とは、何度かお会いしましたね」

見たことない様な紳士的な顔で丁寧に自己紹介した。フタバは気付いた顔で

「ま、まさか!ナラン様のボスとは……」

一応会社の上司ではあるのでボスと言えばボスかもしれない。などと思いながら

「そうですよ。俺のボスのローウェルのおっさんです。凄い闇の組織を束ねてますよね?スズ先輩?」

俺に見られた女神もノリノリで

「そうよ!フタバ姫だからこそ、あえて真の姿を見せたのよ。ローウェル様は闇を束ねる最強ニンジャマスターよ!強いんだから!」

ローウェルは一瞬本気で嫌そうな顔をした後、気を取り直し

「フタバ姫、2人きりでお話があります」

そう言って頬を染めたフタバだけ部屋に入れ、俺達2人を閉め出した。


 女神はホッとした顔で

「フタバちゃんがアホの子で、ローウェルが熟女好きで良かったわ」

「嘘を見抜くスキル持ちとか言ってましたけど、あっさり信じましたね」

女神は悪い笑顔で

「ミャーマちゃんの真実を見抜く者の下位互換スキル、真を見る心、だからね。本人の知力が高ければ、まあ、結構脅威なんだけど」

「……割とぼんやりしたスキルなんですね」

妹のミツハが持っていればヤバかったかもしれない。などと思っていると

「おっ、始まった」

室内からはベッドが軋む音やフタバの喘ぎ声が聞こえてきた。ローウェルは無事、口説き落としたらしい。おっさん姉の方をずっと狙ってたのか……でも後のこと考えてねえよな絶対。ミツハ姫と揉めるだろ……。少し心配したが、関係ないと割り切った俺は、女神とリースの居る島に帰ることにする。

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