楽しい楽しい時間旅行
リースから解放されて、俺は朝焼けの中で小屋から出た。まだ四日目だ。こっから3年は長いと思った直後
「そうよね!長いわ!」
そう言ったスクール水着姿の女神が真横で腕を組んで偉そうに何度も頷いていた。
「色々聞きたいことあるんですけど」
「教えてあげたいとこだけど、準備が整ったから、とりあえず3年後に行きましょうか!」
「……?」
俺は女神に手を引かれ、小屋のある丘から降りていく。
丘を取り囲む周囲の森の東側へと、獣道を分け入って女神は入っていき、そして草で覆われた割れている石畳の上、手を繋いでいる俺と並んで立った。右手を上げ「パチッ」と指を鳴らすと、足元の石畳が音もなく地下へと降下し始めた。女神は楽しげに
「まずは3年後……正確には2年と11ヶ月後のビッグニャンニャンを助けるのよ。他にも衝撃的なことが多いけど、そこを起点に遡っていくからね。他は見るだけにするように」
「ど、どういうことですか?」
「私の力を貸して、楽しい楽しい時間旅行させてあげるって言ってんの!喜びなさい!」
女神はバンバンと俺の背中を叩いた。同時に目の前に、狭い石畳の床や壁中に虹色に発光する魔法陣が描かれた小部屋が出現する。女神は俺の背中を蹴り飛ばし、つんのめった俺が魔法陣に脚を踏み入れると
「いってらっしゃーい!」
そう言った。辺りの景色が歪んでいく。
……
薄暗い小屋のベッドで目覚める。横には痩せこけた何纏っていないリースが力無く寝ている。とりあえずリースを揺すって起こすと、痩せた顔で微笑み
「ナラン……好きよお」
力無く俺に抱きついてきた。抱きしめ返しつつ
「こ、ここは小屋だよな?」
リースは微かに笑って
「そうよ……私とナランの家ね。他に聞きたいことは?」
俺が冗談を言っていると思っているようだ。
「も、もしかしてそろそろ聖者修行終わる?」
「……うん。でももうどうでもいいの……お父様は死んじゃったし、王国もエアーと本物のサナーちゃんが滅ぼしたでしょ?平和なのは教国だけ……シュマリアさんも亡くなって、ローウェルさんは行方不明……ナランあなたも……あれ?夢じゃない?」
リースは慌てた様子で俺の身体中を触ると
「ほっ、本物だ!ナランー!ナランー!」
叫びながら縋り付いてきた。俺は意味が分からないまま途方に暮れる。




