なんだこの状況
俺の身体はその場で両腕を上げグルグル周りながら
「ちょちょけみー!ほばらはー!」
などと奇声を上げている。視界には火花が走り、全身からは虹色の霧の様な何かが噴き出している。
「ぽもはやっさー!!ケケケケケケーッ!」
笑い出した俺から距離を取ったソバメン達3人が集まり
「じゃあ、私から女神の悪口を言うわね」
ソバメンの嬉しそうな声が聞こえる。
俺の身体は逆さになり、頭で床をスピンしながら股を閉じたり開いたりして高速回転し始めた。ソバメンの声が
「他人に気を使っているのに、尽くズレている所ね。女神、凄い他人思いで優しいんだけど他者の心が全然分からないから、救い方がド下手なわけ。そんな感じなのに超強大な力を持ってるから、色んな所に歪みが出るのよねえ」
ローウェルのため息が聞こえ
「……人の使い方を今一分かってねえとこだな。任せるべきところは任せ、遠目に見て、聞かれた時だけ答える。それが良い上司だよ。女神のナランへの接し方見てたら分かるが、指示は無茶苦茶だし任せられずすぐに自分で手を出す。元々の器量が小せえんだろうな」
勝手に身体と口が動く俺が高速スピンから
「ぽまっは!ラブ!ぽまひん!ラブ!」
などと言いながら服を全て脱いで足元に畳み、その上に膝を折って座るとニコッと微笑み、軽妙な語り口で
「ジェイクが浜にやってきたのは女に振られたからです。暑ーい時期でねえ……そしたら大きなウミガメが子供達に虐められてる。こりゃいかんと思って怪力のジェイクは、子供達を全員海に放り投げ、ウミガメを助けましたよ。でも、それが間違いだったんです……」
ピタッとそこで身体の動きが止まる。ジェイクどうなったんだよ……少し、続き気になるだろ……などと思っていると、向こうではシュマリアが恐る恐ると言った声で
「……女神様は完璧な御方です。御二人の批判すら、世界を包み込む慈愛で飲み込まれるでしょう……」
そう言って沈黙がしばらく流れ、シュマリアは言いにくそうに
「……私は聖書を幼年期から読み込み、常に側に置いていました。今では諳んじることすらできます。全ての聖書の言葉が私を創っています……しかし、時折思うのです」
また沈黙が流れ、俺の身体は勝手に匍匐前進を始めた。何も着ていないので正直恥ずかしいが、室内に居るのが大人2人と異形なのが救いだ。ってかジェイクどうなったんだよ……段々気になってきた……。
シュマリアはしばらく迷った挙句
「聖書での女神様の言葉や行動は、勢いだけなのではないかと思う時があります……全ての整合性を取るため神学者が日々研究していますが、やはり外伝にせざる得ない内容など……いや……言い過ぎでした……」
いきなり扉が激しく叩かれ野太い声で
「ここを開けろ!開けるんだ!」
ローウェルは落ち着いた様子で
「かなり効いてるな。ナランが因果をかき回しているからこの部屋にも入れないようだ。じゃあ、ソバメンちゃんもう一周しようか」
「そうね」
2人が話している声を聞きながら、匍匐前進した俺の身体は激しく叩かれている扉にピタッと張り付き、何と扉を舐め始めた。激しく叩かれている振動が全身に伝わる。というか
「開けろ!直ちに開けないと逮捕するぞ!」
野太い声が威圧的過ぎて怖い……なんだこの状況……。




