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冴えない俺が、何でも教えてくれる魔法を手に入れたけど……  作者: 弐屋 丑二
高位存在による介入の損失計算と立て直し

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ここから出さない

 紫の肌の毛の無い女子の姿のソバメンにローウェルは顔をしかめ

「転生か。何処の星のもんだ」

「それは教えられないわ!」

ローウェルが腰の刀を抜こうとするとソバメンは慌てて両手を前で振りながら

「……友達よ!女神のお友達なのは本当!」

ローウェルは舌打ちすると黒装束懐から長い黒布を取り出し

「巻け。天界に連れて行ってやる」

と言った。


 布にスッポリ包まれたソバメンを俺が抱え上げ持っていくことになる。ローウェルは空になった棺を閉め

「女神が見ているなら、ひっかからないはずだ」

そう言って扉を開けた途端に老年のシスター達が外に居た。シュマリアが真面目な顔で

「なんでしょうか?」

シスター達は怪訝な様子で俺の抱えている布を見つめ

「それは、パンメンかソバメンでは?」

一発で当ててくる。シュマリアが冷静に

「いえ違います。我々は警護でここに入って来ました。その布の中身は、警護のナランさんの私物です」

ローウェルがダルそうに

「棺の中を確認してくれよ。両方とも居るぜえ?」

シスター達が入ってきた瞬間に首筋を叩いて2人を気絶させた。シュマリアは涙目で

「これで私は大罪人ですね……同僚に嘘もついてしまいました……」

「俺も指名手配だな。どっちにしろパンメン食ってたのバレたら死罪だが」

「女神様、このソバメンと絶対に会いたくないみたいな……」

人払いが簡単にできる女神が初手からこれとかあり得ない。絶対に妨害してきている。俺が布を下ろすとソバメンは紫の毛の無い顔を出し

「何とかなさい!私は女神と会わないといけないの!」

ローウェルとシュマリアが黙って俺を見てきたので、仕方なく天井を見ながら

「リブラー」

と唱えた。いつもの声が


 この状況を脱するのは簡単です。まずソバメンを棺に戻します。そしてナランさんが特定のスキルを付け、全て服を脱ぎパンメンの棺に入ります。その後ローウェルさんとシュマリアさんが慌てた演技でシスター達を起こしてください。理由は、急に原因不明で倒れた。などで良いでしょう。そして棺の中を確認させるのです。ナランさんの服と抱えていた布はローウェルさんの忍術で空気でも入れて壁際に立たせておくと良いです。


 問題は、むしろここからソバメンを連れ出すことがほぼ不可能であるということでしょう。明確に女神の因果律操作による妨害が入っています。シスター達が去った後、話し合うことが必要です。棺に入るのと同時に 成りすましの達人、幻惑の屈折、姿を持たぬ者、のスキルをつけますが、後者2つはマイナススキルです。吐き気等にご注意ください。


 ローウェル達に今言われたことを全て告げると、ソバメンは布から出てきて

「棺に戻してちょうだい」

ローウェルとシュマリアは黙って両方の棺を開け、俺は全ての服を渋々脱いでいく。


 5分後、俺が入っている棺は開けられ、シスター達が覗き込んできた。猛烈な吐き気に耐えている何も着ていない俺の身体を、2人はジロジロと見つめた後

「両方いますね。失礼いたしました」

そう言って棺を閉めた。部屋の扉が閉まる音がして、シュマリアが棺を開けてくれる。同時にマイナススキルが削除されたのか吐き気が一気に止んだ。


 上半身を起こすとローウェルがホッとした顔をしていて、壁際で人が居るかの如く、膨らんだ布を持ち立って居た、空気の入った俺の黒装束と黒頭巾は崩れ落ちる。

「割と高度な忍術だからなアレ……ナラン、忍法空気人形とか言うんじゃねえぞ」

シュマリアが服を取りに行きながら

「空蝉の応用ですね。助かりました」

ローウェルがソバメンの棺を開けながら

「お前、何したんだよ……絶対に因果操作でここから出さないという女神の決意を感じるぞ……」

ソバメンは上半身を起こし

「何もしてないわ!ただ寿命前に転生を試したら成功したってだけよ、生前はお友達だったの!」

俺はシュマリアが持ってきてくれた下着や黒装束を素早く纏い

「どうすんだ?」

ローウェルに尋ねる。ローウェルはため息を吐いて

「リブラーが言った通り、皆で話し合うしかねえだろ」

ソバメンはニヤリと笑い

「私に考えがあるわ」

と言った。

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