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冴えない俺が、何でも教えてくれる魔法を手に入れたけど……  作者: 弐屋 丑二
高位存在による介入の損失計算と立て直し

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たのもー

 自宅は綺麗なままだった。キッチンのテーブルに座るとノヴェナが

「私やロマンシアちゃんが掃除してたからね」

誇らしげに言いながら、オレンジジュースの瓶を出し人数分ガラスコップに注いだ。サナーはジュースを眺めながら

「やっと、私がいるべき場所に戻ってきた気がする」

「良かったね。あ、そろそろフォッカーが」

ノヴェナがそう言った直後に

「隊長!副長!お久しぶりです!」

フォッカーが足早に室内に入ってくる。空いている席に座ると

「教国、どうでした!?」

勢いよく尋ねてきたので、今まで起こったことを話していく。


 ジュースを飲み、ノヴェナの作ってくれた卵料理を食べながら一時間弱で全て話終えると

「無茶苦茶ですね……女神様も……」

俺と全く同じ感想で笑ってしまう。サナーは力無く笑うと

「もう私は疲れた……寝るからな」

そう言って2階へと上がって行く。フォッカーはその後ろ姿を眺めながら

「副長は俺に任せてください!」

「うん、頼む。もう戻らないと。あとエアー・バレッティに気をつけろよ。さっき話した通り王国に今居る」

「わかりました」

フォッカーがそう言った瞬間

「たのもー!居るのはわかっている!出てこーい!」

エアーの声が外からしてきて、ずっこけそうになる。


 扉を開けて出ると、全身擦り傷だらけで、茶色の下着姿のままのエアーがニカッと笑って立って居た。首に鈴は巻きつけてあり、腰のベルトに彗星剣のレプリカは提げている。あまりな姿に圧倒され

「あ、どうも」

思わず、そう言うと

「鈴がここに導いたんだ。風呂に入らせてくれ。あたしは休みたい」

「い、良いけどちょっと待ってくれ」

背後からフォッカーが顔を出すと、途端に嬉しそうな表情になり

「おおおお!エアーさんですよね!聞きしに勝る燃えるような美人!どうぞこちらへ!」

勝手に部屋に入れてしまう。


 ノヴェナが裏のドラム缶風呂を沸かしている間、リビングでフォッカーが軟膏や濡れタオルをエアーに渡すと、ベルトや首輪を外しながら全身を拭き、塗り始め

「シュマリアが山中に下ろしたから、ここまで来るのに苦労した。大天使が居るなら、ここが冒険の拠点だな。あたしの部屋を教えてくれ」

「……」

少し考えて、俺、しばらく教国に居るから、部屋使わないよな……。拭き終えたエアーを2階の自室に連れていく。


 窓を開けると気に入ったようで

「広い。服とか、入れ替えても良いか?」

クローゼットを開けながら言ってくる。付いてきたフォッカーが

「隊長の私物は倉庫に入れておきますね」

「頼む。金庫の金も好きに使って良いからな。エアーさん、じゃあ俺は教国に用事が……」

エアーは真面目な顔で頷き

「ナラン、だったか?」

「うん。そうだけど」

「あたし、休んだら冒険をしたいんだ。ギルドとかないのか?」

フォッカーがニッコリ微笑むと

「傭兵会社に後で連れていきます!」

「そうだな。そうしてくれ。エアーさん、こいつフォッカーって言います。俺の戦友です。頼ってくださいね」

出ていこうとするとエアーから手を取られ、少し恥ずかしげに

「あたし、仲間がいないと……生活できないんだ……信じて良いな?」

「……俺の仲間達なら信頼できるから、大丈夫だと思う」

エアーは真顔で

「分かった!大天使、また会いに来てくれ!あたし、いつもの仲間が居なくてちょっと寂しいんだ」

「う、うん」

逃げるように自室から出ていく。


 家の裏でノヴェナに挨拶をしてから天使の翼を生やし、大空へと飛び立つ。結局ここでもエアーを導く仕事させられていた気がする。女神は人使いが荒すぎるんじゃないのか……。晴れ渡った空を俺は羽ばたいて行く。

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