おかえり
全力で抱き合って、求め合った。ちょっと前にジン・スカイストリートで抱き合った時より、もっと確かな感触と重さがある気がした。気付いたら眠り込んでいた。
揺さぶられ起きると鼻血を垂らしたサナーが俺の横で眠るリースを見ながら
「これ、2度目だぞ……ふざけんなよ……」
小声で文句を言って鼻血をちり紙で拭きながら俺を引っ張る。ベッドから降りると
「金髪女を聖塔に送ったら、私を自宅に連れて行ってくれ。しばらく心の傷を癒やしたい」
「……そうしようか」
サナーはタンスから俺の黒装束を出して着始めた。俺はシャツを取り出し、寝ているリースに着せる。
サナーは宿屋で待たせ、リースを背負い、聖塔の休憩室に戻るまで、誰とも会わなかった。完全に女神の手のひらの上だな……と思いながらリースをベンチに寝かせ、静かに休憩室を出る。部屋を出てから、聖塔を出て、宿屋に戻るまでには、数十人の様々な職員や通行人とすれ違った。
宿屋に戻ると黒装束と黒頭巾を着込んでいたサナーが
「行くぞ」
俺の背中に飛び乗った。サナーを背負って部屋の窓から飛び降り、天使の羽根を出し夜明け前の上空へと飛び立った。
「あっちだ」
とサナーが言った方へと羽ばたいて行く。朝焼けが俺達を照らしていく。サナーは
「公的なサナーは分身に任せた!私はしばらくダラダラするからな!」
「……良いんじゃないか?」
「もう仕事なんてしないぞ!」
サナーは朝日に向かって吠えた。多分無理だと思う……でも俺は忙しいので放っておこう。
しばらく飛び続けていると、広大な王都が見えてきて、更にサナーの言う方向へ進んでいくと、見慣れた廃墟群が見えてきた。自宅の前に着地すると、横の家からエプロンを着たノヴェナが走り出てきた。服も着ているようだ。
「ナラン君おかえり!脳内からずっと見ていたけどね!」
ノヴェナは自宅の鍵を開け、俺達を室内に連れ込んでいく。久しぶりの自宅だ。




