続けます
俺は黙ってリースの頭上に雑な造りの黒い藁人形を乗せようとするが、手が途中で止まる。リースは不安げに
「ナラン……?」
サナーは気付いた顔で
「惜しくなったな……?」
そうなのだ。惜しくなってしまった。これ、自分の頭に乗せたら、もしかして大天使の仕事全部やってくれるんじゃないだろうか……そしたら俺、家で寝てるだけで良いよな……。
しばらく迷っていると、サナーがニヤニヤしだし
「自分の頭に乗せちゃえよ!リースには勿体ないって!」
「な、ナラン……」
リースは涙目になってきた。しばらく葛藤し続け、何度も自分の頭に乗せそうになりながらも、どうにかリースの頭に藁人形を乗せると、俺とリースの目の前にリースの分身が出現した。
リースの分身はニコリと微笑み
「ご主人様、聖者として生きていけばよろしいでしょうか?」
「うん!私の代わりに聖者をして!」
すると何と分身は心配そうな顔で
「ご主人様は王族です。王族としての身分も私が代行することになりますが、よろしいでしょうか?」
リースはしばらく迷うと
「途中で代わってもらうのは?」
「その場合、聖者修行の記憶などが欠けた状態で交代することになるので、おすすめはしません」
リースは迷いに迷った末
「分かった!じゃあ、休憩とかお休みの時にだけ!私と代わって!私は聖者を続けます!」
分身はニコリと微笑み
「では、普段は消えますね。必要な時にお呼びください」
その場から消えた。
サナーが愕然としながら
「お、おい、ナラン。私、すげえ間違いをしてしまったんじゃないか……」
「まあ、聖者としての栄光は分身に全部やったと言えるな……」
あぶねえ……俺の分身作らなくて良かった。リースはホッとした様子で
「どうしてもナランに会いたくなった時だけ、分身に聖者をしてもらうね」
俺の頬にキスをすると、サナーの分身の横に跪き祈り始めた。サナーはしばらく悔しげな顔をした後
「あ、そうか。金髪女はド変態修行を続けるわけだから、私はこれから宿屋でナランと子作りしたら良いじゃん」
ポンッと手を打ち合わせ言ってきた。次の瞬間にはリースがまた立ち上がり
「もう許さない!分身さんちょっと代わって!」
瞬時に出現した分身に祈りを交代すると、俺に抱きつきながら、真剣な顔でサナーを指差し
「奴隷サナー!ウィズ王族である私の言うことを聞きなさい!そこで座る!」
威厳ある声で言い放つ。
「くっ……はい。リース様」
未だにサナーは身分を強調されると弱いようで、素直に足を折り、その場に座った。リースは更に
「これから私はナランと宿屋に行きます!サナーちゃんも付いてきて!私達服を着てないけど、女神様がきっと誰にも会わせないわ!」
サナーは素直に立ち上がる。
本当に宿屋まで誰とも会わなかった。明けっ放しの窓に3人で跳躍して入っていく。サナーが安堵した顔で座り込み
「も、もう嫌だ。服着たい」
と言っているのをリースは見ながら
「奴隷サナーちゃん、命令します。壁際に座って、ちゃんと前を向いてね」
ベッドの真横の壁を指さす。サナーが素直に座ると
「ナラン!ナラン!」
まるで大型犬がじゃれつくように俺をベッドに押し倒してきた。




