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冴えない俺が、何でも教えてくれる魔法を手に入れたけど……  作者: 弐屋 丑二
高位存在による介入の損失計算と立て直し

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308/329

続けます

 俺は黙ってリースの頭上に雑な造りの黒い藁人形を乗せようとするが、手が途中で止まる。リースは不安げに

「ナラン……?」

サナーは気付いた顔で

「惜しくなったな……?」

そうなのだ。惜しくなってしまった。これ、自分の頭に乗せたら、もしかして大天使の仕事全部やってくれるんじゃないだろうか……そしたら俺、家で寝てるだけで良いよな……。


 しばらく迷っていると、サナーがニヤニヤしだし

「自分の頭に乗せちゃえよ!リースには勿体ないって!」

「な、ナラン……」

リースは涙目になってきた。しばらく葛藤し続け、何度も自分の頭に乗せそうになりながらも、どうにかリースの頭に藁人形を乗せると、俺とリースの目の前にリースの分身が出現した。


 リースの分身はニコリと微笑み

「ご主人様、聖者として生きていけばよろしいでしょうか?」

「うん!私の代わりに聖者をして!」

すると何と分身は心配そうな顔で

「ご主人様は王族です。王族としての身分も私が代行することになりますが、よろしいでしょうか?」

リースはしばらく迷うと

「途中で代わってもらうのは?」

「その場合、聖者修行の記憶などが欠けた状態で交代することになるので、おすすめはしません」

リースは迷いに迷った末

「分かった!じゃあ、休憩とかお休みの時にだけ!私と代わって!私は聖者を続けます!」

分身はニコリと微笑み

「では、普段は消えますね。必要な時にお呼びください」

その場から消えた。


 サナーが愕然としながら

「お、おい、ナラン。私、すげえ間違いをしてしまったんじゃないか……」

「まあ、聖者としての栄光は分身に全部やったと言えるな……」

あぶねえ……俺の分身作らなくて良かった。リースはホッとした様子で

「どうしてもナランに会いたくなった時だけ、分身に聖者をしてもらうね」

俺の頬にキスをすると、サナーの分身の横に跪き祈り始めた。サナーはしばらく悔しげな顔をした後

「あ、そうか。金髪女はド変態修行を続けるわけだから、私はこれから宿屋でナランと子作りしたら良いじゃん」

ポンッと手を打ち合わせ言ってきた。次の瞬間にはリースがまた立ち上がり

「もう許さない!分身さんちょっと代わって!」

瞬時に出現した分身に祈りを交代すると、俺に抱きつきながら、真剣な顔でサナーを指差し

「奴隷サナー!ウィズ王族である私の言うことを聞きなさい!そこで座る!」

威厳ある声で言い放つ。

「くっ……はい。リース様」

未だにサナーは身分を強調されると弱いようで、素直に足を折り、その場に座った。リースは更に

「これから私はナランと宿屋に行きます!サナーちゃんも付いてきて!私達服を着てないけど、女神様がきっと誰にも会わせないわ!」

サナーは素直に立ち上がる。


 本当に宿屋まで誰とも会わなかった。明けっ放しの窓に3人で跳躍して入っていく。サナーが安堵した顔で座り込み

「も、もう嫌だ。服着たい」

と言っているのをリースは見ながら

「奴隷サナーちゃん、命令します。壁際に座って、ちゃんと前を向いてね」

ベッドの真横の壁を指さす。サナーが素直に座ると

「ナラン!ナラン!」

まるで大型犬がじゃれつくように俺をベッドに押し倒してきた。

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