ダブルミー
俺は慌てて増殖したサナー達を見回しながら
「大丈夫か!?」
俺から見て左のサナーが
「私が……2人……?」
それを聞いた右のサナーが頭を下げると
「ご命令をご主人様」
左のサナーを向きニッコリ微笑みながら丁寧な口調で返した。左のサナーは一瞬面食らったが、すぐに悪い顔になり
「逆立ち大開脚回転をしろ!笑顔で!」
右のサナーは微笑んだまま頷いて、言われた通りのヤベー動きをあっさりし始めた。最初は満足げに頷いていた左のサナーは、一糸まとわぬまま回転する自分そっくりな右のサナーに次第に顔を赤くしていき
「やめろ!ダメ!後ろ向いて!」
右のサナーはピタッと止まると立ち、背後を向いて停止した。左のサナーはむき出しの後ろ姿を見て
「うぐぐぐ……貧弱な尻だ……」
涙目で俺を見てくる。
俺は流石に女神の意図が分かったので
「サナー、お前の分身に代わりに儀式をやらせろって女神様のサービスじゃないのか?」
左の本体らしきサナーは驚いた表情で両目を見開き、後ろを向いている右のサナーの前に回り込むと
「私の代わりに聖者となり!全ての儀式や教会の修行!その後の聖者の人生も全部やってくれ!」
いくらなんでも無茶苦茶な要求をした。呆れながら流石に都合良すぎだと注意しようとすると、右のコピーされたらしきサナーは大真面目な顔で頷いて
「ご主人様、ご命令を実行いたします」
何とリースの横で跪き目を閉じると、真剣に祈り始めた。
サナーは飛び上がって喜びながら
「これ!聖鉄器ビニャメンに与えられたダブルミーだ!これはすげーもんだぞ!?ナラン愛してる!私は聖者卒業だよ!」
俺に抱きついてくる。俺は朧げに知っていたので
「ダブルミーってことはアレか。もう一人の自分で合ってるよな?」
「そうだよ!ビニャメンはそれで魔鉄騎ガニャメンを創り出し、聖と魔で偽装戦争を繰り返し、世界を平和にしたんだ!」
「……よく知らんけど、好きなように操れる自分ってことだよな?」
「そうだ!これで聖者はリースだけだ!金髪露出変態女!ざまあ!私のコピーと一生やってろ!あははは!」
俺から離れたサナーは完全に調子に乗って、リースに近づき煽り始めた。リースの顔が次第に赤くなっていき、何と初めて祈るのを止め、怒った顔で立ち上がるとサナーをキッと睨みつけ
「サナーちゃん!私だってもう自分の人生に戻りたいって思ってる!ナラン!ああ……ナラン!」
俺に駆け寄り抱きついてきた。サナーは距離を取ってリースの顔を指差しながら
「やーい、私は解放されたぞー!一生ド変態聖者やってろー!その間にナランと結婚してやるー!」
全力で煽り始めた。リースは涙目で
「ダメっ!ナランは私の!私のだから!」
片腕で俺を必死に抱きしめながら、片腕で必死に腕を振り上げ振って抗議をし始めた。黙って俺はもう一体、雑な造りの黒藁人形を取り出して見せると、2人の動きが止まる。




