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冴えない俺が、何でも教えてくれる魔法を手に入れたけど……  作者: 弐屋 丑二
高位存在による介入の損失計算と立て直し

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右往左往

 両目を煌めかせ俺を見てくるエアーの視線から目を逸らしながら

「……すっごい悪ですか……」

シュマリアを見る。意図を察してくれたようで

「スカウ・ニクス帝国で戦争を煽って稼いでいる武器商人や政治家は悪ですね」

「それ、やっちゃって良いのか!?」

エアーが前のめりに言ってきたので

「いやー……ちょっと女神様のご意見を聞きたいです」

ちゃんと言質を取って女神の責任にしておかないと後々面倒なことになりそうだ。エアーは不満げに

「大天使様ならすっごい悪を知っているだろ?勿体ぶらずに教えてくれ!」

邪神以外は本物の悪と呼べる存在は……あっ、そうか。いきなり俺の横に出現した女神が

「ボウガーの追跡をしなさい。ハーフブレイバー、エアーよ」

虹色の光を全身から放ちながら言った。


 エアーは立ち上がると

「あたし、ハーフブレイバーになっていたのか!」

女神は光で無駄に眩しい右手の人差し指をエアーに向け

「レベル117、準マスタークラスね。いずれブレイバーにもなるでしょう。あなたにこの鈴をあげる。鈴が鳴る方に進むのよ」

エアーの首に猫がつけるような首輪と鈴が巻き付いた状態で出現した。エアーは嬉しそうに

「神器、スズの鈴だな!もっとくれ!あたしはこういうの憧れてるんだ!」

エアーの前に鞘に入った彗星剣が出現した。女神は威厳ある声で

「彗星剣レプリカよ。エアーちゃん、剣がやる気ないから鍛え直してね。鞘で殴ると強いわ」

「任せろ!」

エアーはサッと手に取ると俺を見て

「あたしが冒険すべき場所に連れて行ってくれ!」

俺が無闇に輝いている女神を見ると横を向いて

「ウィズ王国とか良いんじゃないかなー」

言ってきたので

「ではエアーさん、ウィズ王国に……」

「私が連れて行きます!」

シュマリアが笑顔で立ち上がり、エアーの手を取り、勢いよく出て行った。


 しばらく無言で座った後、光が消えた女神に

「いいんですか?」

「うん。エアーちゃん、勝手に冒険し始めると思うからしばらく放っといてあげて」

「……リースとサナーの様子を見てきても?」

「どうぞ。明日は休みで、その後パンコネ謎儀式が始まるわ」

「謎儀式とか言わないでくださいよ……」

俺は応接間を出ていく。結局雑務ばかりやらされてる気がする。


 教都へと降り、聖塔裏口から入る、休憩室へと上がって行く。ノックをして扉を開けると、跪き祈っているリースしか居なかった。多分、空から戻ってきたサナーは検査とかされてるんだろうなとベンチに座り、一息吐くとガチャリと扉が開き、シスター服を着てベールを目深に被ったアンジェラとミヤが入ってきた。変装しているアンジェラは色付き眼鏡をずらし

「ナラン君、ありがとうね。エアーさんへの国民の関心が落ちていたから、早めに出してあげたかった」

ミヤはベールを取り

「ナラン!ジン・スカイストリートに連れて行ってよ。姉貴と私だけだと行けないみたいで」

「ちょっと休憩してからでいい?」

頷いた姉妹も横に座ってきた。ミヤは携帯端末を取り出すと

「こないだの禁呪動画がちょーバズって、フォロワー増えたから、欲が出ちゃって……」

謎の呪文の様な言葉を言ってくる。首を傾げているとアンジェラが苦笑いしながら

「ミヤちゃん、ジン・スカイストリートを携帯端末で撮影したいんだって」

「それくらいなら良いですけど、女神様の許可取ってます?」

アンジェラは頷くと

「あなたも大変みたいね」

「……女神様に右往左往させられてます」

項垂れる俺の背中をアンジェラは優しく叩いた。

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