仕事の補佐
シュマリアにやる気のない顔を向けると
「……大丈夫ですか?」
本気で心配される。
「いや大丈夫じゃないんですけど、お話は伺います……」
「ではここで説明しますね。セヴンスクラウディー帝国初代皇帝のエアー・バレッティ陛下がお仲間達と仲違いをしてしまったそうです。なので彼女を迎えに行って欲しいとのことです」
「何処にですか……」
「女神様によると、三十分後に教国東の深海射出ポイントから打ち上げられるので、空中でキャッチして、このジン・スカイストリートまで持ってきてくれということです」
「何かに詰め込まれてるんですね」
「カプセルに入っているとのことです」
俺が天使の翼を出して飛び立とうとするとシュマリアも
「箒持ってきます!」
屋敷のある方へと駆けて行った。俺も羽ばたきながら付いていく。
箒に乗ったシュマリアと飛び立ち、東へと降下していく。穏やかな海から三十メートル上をグルグル周りながら
「多分、この辺りだと思うんですけどね」
「そろそろ時間ですね」
などと話していると、次の瞬間には硬い何かに横っ面を当てられ、上方向へ吹き飛んでいた。
すぐに意識が戻って、海から飛んできた白いそれが、目的のカプセルだと分かる。どうにか重い金属でできた長さ2メートル程の長方形のそれを宙で抱え、シュマリアに先導してもらいながら、上空のジン・スカイストリートへと帰っていく。重い……。
どうにかジン・スカイストリートの端にカプセルを下ろし、汗を拭う。シュマリアも着地するとしゃがんでコツコツ叩きながら
「この金属の筒、開く場所がありませんね」
直後に「プシュー!」という音と共に白いカプセルがバラバラになり
「くそー!あたしを閉じ込めた奴は誰だ!?」
金髪おさげ髪で碧眼を見開いたエアーが飛び出てくる。茶色の下着姿だ。彼女はシュマリアに襟を掴み
「お前!ここは何処だ!」
シュマリアは落ち着いた声で
「エアーさん、ここは天界です。女神様に導かれたのです」
「ほっ……本当か!?」
あっさり信じたエアーは、天使の翼を出したままの俺にようやく気付き
「てっ……天使……あれ、何処かで会ったような……」
すげーな、流石元皇帝、俺のこと覚えてたか……と思いながら、出来るだけ穏やかに
「エアーさん、大天使ナランです。この世界の管理を任されています。女神様がエアーさんをお呼びになりましたk」
偉そうに言ってみる。実際は邪神の使いっ走りだけどな!休暇も潰されまくりの!……何処かに訴えられないだろうか……無理だな……。
エアーは本気で驚いた表情をした後
「おおおおお!あたしもとうとう女神様に選ばれたか!!みんな!やったぞ!皆……?」
辺りを見回し始めた。シュマリアが穏やかに微笑みながら
「お仲間の方々とは別れていますよね」
エアーは思い出した顔で項垂れ
「そうだった……皆、私を置いて行った」
シュマリアが俺の耳元に
「エアーさん以外は、戦いが続いた日々に鬱になって地上に還されたそうです」
「ああ……」
ヒト世界で無茶苦茶させられていたので、壊れたのか……そうか……手伝った俺にも少しは責任あるよな……。
とりあえず2人でエアーを屋敷へと連れて行く。応接間に入って、エアーとテーブル越しに座る。シュマリアも俺の横に座ってきた。エアーは両目を輝かせ
「大天使様!あたし!世界を救いたいんだ!すっごい悪と戦わせてくれ!」
すっごい悪と言えば、もう邪神しか居ないが、あれと戦うのは流石に分が悪い。そこで、突然、俺は女神の意図が分かってしまった。そうか……エアーと現実の悪を戦わせろということか……。シュマリア、エアーと邪神なりに俺の大天使の仕事の補佐を増やしているつもりらしい。無茶苦茶迷惑だが、集められたシュマリア達は悪くないよな……どうしよ……。




