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冴えない俺が、何でも教えてくれる魔法を手に入れたけど……  作者: 弐屋 丑二
高位存在による介入の損失計算と立て直し

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選べ

 小屋の中には古いシャツとズボン、錆びたスコップがあった。服を着て、そして小屋の外の大きめの広葉樹林の根元を掘っていく。広く深く掘り、小屋の中からボイの遺骸を抱え、穴へと埋葬する。少し土を盛って埋め、木の枝を盛り土の中心に刺しながら思う、世界では嬉しいことも悲しいこともあるけど、俺が全ては受け止めきれない。気持ちが破裂しないため、取捨選択も必要だと思う。


 昔、教会でやっていたような軽い祈りの仕草をして、俺は天使の羽根を背中に生やすと飛び立った。


 夜空を西へ向かって飛びながら、ふと、思ってしまう。スペシャル神の裁きを適切に使うことができればスカウ・ニクス帝国の争いを止めることができるよな……。宙で羽ばたきながら停止して、しばらく考え、いやいやいや無いな……リースに会いに行こう……と思って西へ飛び、そしてまた停まりをしばらく繰り返した末、俺は全速力で東へと戻っていた。


 高度を上げながら、三十分も飛ばないうちにライトアップされたジン・スカイストリートへとたどり着き、いつもの屋敷の中へ駆け込み2階へと上がり、薄暗い部屋に走り込むと、大天使セイが椅子に座り、画面やボタンなどを触っていた。


 セイは俺に振り向くと

「女神の指示でスカウ・ニクス帝国の首都上空へ進んでいる。到着までに消すべき対象を簡単に説明してやるから、何を消すべきか選べ」

真面目な顔で言って立ち上がった。そして俺に代わりに椅子に座るよう促してくる。


 セイが最初に提示してきた消すべき対象は、まず戦闘用の巨大飛行船団。両王家がそれぞれ二百隻以上保持していて、戦闘の火種にしかなっていない。消失させた場合のデメリットは帝国の文明後退。技術の象徴を神の裁きで消された国民のショックは計り知れないそうだ。科学技術、魔法科学への信頼と意欲の減退が起こり、国家が衰退するのは間違いないらしい。


 次は帝都の城壁や宮殿を消すこと、女神が怒っていると知らしめるには良いが、国民から現体制に疑問が出ると、反体制派が活発になり国内情勢が不安定になる確率が高い。


 その次は、現世代の皇帝にロックオンでスペシャル神の裁きを落とすこと。ガセッタ王国でやったように周囲への被害は少なく、国を一気に変えることが出来る。しかしセイから見ると、皇帝は暗愚ではあるがミサ姫の悪辣ぶりには遠く及ばないので、神の裁きを落とすには可哀想に思えるとのことだった。


 最後は、スカウ側とニクス側の好戦的な軍閥の装備や城壁を一挙に消すこと。これは対処療法でしかないが、数百年は争いが消える可能性が高い。しかし、防衛能力を失った帝国が他国からの侵略を受け、不安定化する可能性が高い。


 全て聴いた上で俺はセイに

「ロックオン機能で、戦争で儲けている武器商人とか政治家とかだけ狙えませんかね?」

セイは腕を組み

「数が多すぎて面倒だぞ?しかも、スペシャル神の裁きを乱発すると、間違いなくその国は滅びる。女神に見捨てられたと判断した国民が一斉に逃げ出すからだ」

よくわかった。数発が限度のようだ。俺は自分の頭でどうするか考え始める。

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