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冴えない俺が、何でも教えてくれる魔法を手に入れたけど……  作者: 弐屋 丑二
高位存在による介入の損失計算と立て直し

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酷い徒労

 ミサ姫になりすました分裂した女神を置いて、俺達は扉を開け地下牢から出る。元の姿のままの女神は歩きながらシュマリアに

「完璧に反省したって、職員には伝えるのよ」

「もちろんそうしますが……この後、司祭達からのミサ姫への確認もありますよ?」

「……大丈夫よ!聖書の元になったのは誰だと思ってんの!」

女神は自信があるようだが、俺は実は女神、そんなに聖書分かってないんじゃないかと疑っている。なんせ邪神なので……。


 一階ホールへ行き、シュマリアは駆け寄ってきた先ほどの職員へ

「ミサ姫は改心なされました。もう大丈夫です。女神様からのお裁きも収まるでしょう」

と真顔で告げ、安堵した顔をされた。本物のミサ姫はゴブリンキングダムへ飛ばされたが……。もうそれはしばらく忘れよう……考えても仕方ない。


 シュマリアは職員と共に施設上階へ行き、俺達は立ったまま待つ。ポトスンが

「社会がガタガタだから、この刑務所もパンパンだにゃ」

女神はニコリと笑い

「それももう終わるわ。ミサ姫になりすました私が、良い方へ社会改革するからね」

俺は黙って2人の話を聞きながら、ミサ姫になりすました女神にスペシャル神の裁きを落としたら面白くねえか……?という誘惑と闘っていた。全ての不条理の根源であり、最も神の裁きが必要なのは女神ではないかと思う。


 シュマリアが戻って来ると

「書類にサインをしてきました。数日以内に釈放されると思います」

俺達は全員で外ヘ出て荷車に乗り込み、刑務所の敷地外へと出ていく。女神は急に思いついた顔で

「……そうだ!追いスペシャル神の裁きしましょう!ゴブリンキングダムに居るミサ姫に落とすのよ!」

頭がおかしい提案をしてきた。流石に俺が

「しばらく放っておきましょうよ……」

「……う。そ、そうね」

女神は急に恥ずかしそうな表情になり消えた。俺はシュマリアに

「あの、ジン・スカイストリートへ戻っても良いですか?」

「そうですね。後は私が見ておきます。箒も教会に置いてきましたので、取りに行かねば」

「ポトスンさん、お疲れ様でした」

「ナラン君、ファイトだにゃー」

ポトスンは振り返らず言ってきた。俺は天使の羽根を背中から出し、暮れていく大空へ飛び上がる。


 ジン・スカイストリートの屋敷前に着地するとマリオンヌが待っていてプルプル揺れながら

「ちょっと提案なんだけど」

「どうしました?」

「あのさ、僕がミサ姫もぐもぐしたら早くない?」

俺はその場にしゃがみ込んでしまう。俺も女神もアホだった。確かにマリオンヌが食えば、いろいろと浄化されるはずで、もしかするとスペシャル神の裁きすら必要なかったのでは……。マリオンヌはニヤニヤ笑いながら

「まあ、スペシャル神の裁き楽しいからね。特に意味も無く使いたいよね」

「確かに何の意味もなかったかもしれないですね……」

全身の力が抜ける。あの邪神やっぱりアホじゃねえか!ガセッタ国民を無駄に怯えさせ、俺とシュマリアの2日間の休暇を吹き飛ばした、酷い徒労だった……。

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