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冴えない俺が、何でも教えてくれる魔法を手に入れたけど……  作者: 弐屋 丑二
高位存在による介入の損失計算と立て直し

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ついやっちゃった

 目が慣れると、ミサ姫がいたところにはには一匹の裸の痩せたゴブリンが立っていた。紫のザラザラの肌で胸が出ているのでメスの用だ。ゴブリンは慌てて胸と股を隠すと

「えっ……服が……あれ、腕が違う……」

座っている女神はポケットから手鏡を出すと微かに震えているシュマリアに渡し、ゴブリンに向けさせる。

「ミサちゃん、ゴブリンデビューおめでとー」

冷たい顔で脚を組みながらパチパチと拍手をし、そしてダルそうに

「例えば、ミサちゃん御執心の株式市場ってさあ……情報を豊富に持っている上流階級の資産家達が中心で運行されるわけですよ。そりゃ相場を読みきって成り上がる市井の天才は居ますよ?でもあんた達は情報量が生まれた時から違うでしょ?詐欺みたいなもんまでとは思わないけど、よーく考えなくても勝者が更に勝者になるシステムよねえ」

ゴブリンは座り込み、殺意のこもった目線を女神に向けてくる。

 「……例えば思想家は頭が良すぎるから、世の中の猥雑さが分からない。彼らが押し付けたルールや哲学がダダ滑りするのは、大衆の猥雑さを理解できないから。その猥雑さを乗りこなして名を成していく者達は大抵品性下劣よ。でもさあ……」

女神は立ち上がると

「その下品さを自覚してるかどうかよねえ……無数の屠殺された家畜や引き抜かれ細切れにされた植物の死骸を食べるのはまあ良いわ。それ以上に同胞である人間の悲しみや死の上できったない栄光を嗜むあんたは特別臭くてキモい。小便と吐瀉物の臭いがする苔むした路地裏と一緒。でも綺麗にカットされたダイヤモンドの様に見せたいんでしょ?頭が何処までも悪いから」

そして、顔が見えないと錯覚するような真っ黒な笑顔で

「さあ、異端審問スペシャルコースの始まりです。真の女神教とは有であり無である、ということを理解しうるまで、ゴブリンキングダムで暮らしなさい。何のボーナスも無い庶民とは何か、心の底まで理解できるまでね」

次の瞬間、ゴブリンを真っ白な光が包み込むと消えた。


 シュマリアと俺は唖然としているが、ポトスンはため息を吐いて

「女神ちゃん、まーたやっちゃったにゃ」

女神はいきなり床に崩れ落ちると

「……生き物のワープってエネルギー使うのよね……ミサ姫が何の哲理の欠片も無い汚物以下のアホだったから、ついやっちゃった……どうしよ……」

ようやく口が動いた俺が

「あの……異端審問は?」

女神はうなだれたまま

「う、うん……勢いでスペシャルコースに変更したから……ゴブリンキングダムでやることになりました……延期です」

「いや、ミサ姫消えたんですけど……ヤバいでしょ……俺らが疑われますよ」

女神は突然、二つに分裂すると、片方がため息を吐きながら鉄格子をすり抜けていき、同時に囚人服を着たミサ姫と瓜二つに姿を変え、こちらへ振り向き

「……私がやってあげるわ。シュマリアちゃん、反省して許されたってことにしといて」

シュマリアは戸惑った様子で

「よ、良いのですけど、あの紫の稲妻は、女神様が、本気でお怒りになった時の……」

ミサ姫そっくりになった方の女神はうなだれながら右手を横に振り

「それは、どうでも良いわ。あーあ、やらかした」

座り込んでうなだれる。いや、この邪神マジでヤバいだろ……怒りに任せてミサ姫をゴブリンに変えた挙句にゴブリンキングダムに飛ばしたぞ……。

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