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冴えない俺が、何でも教えてくれる魔法を手に入れたけど……  作者: 弐屋 丑二
高位存在による介入の損失計算と立て直し

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ラーメン

 ミサ姫は医務室のベッドから起き上がると、老王に両腕をあげて飛び跳ねて見せた。俺はここだな……と思ってしまい、一番左のボタンをまた押してしまう。直後に周囲の人達は老王含めて倒れたり、メイド達が逃げ出したりと音声がない状態で見ても、医務室内は阿鼻叫喚になった。虹の稲妻を感じられないミサ姫はその中心で固まっている。


 横でニヤニヤしながら画面を眺めている女神は

「完璧なタイミングよ。父親に元気アピールした直後に神の裁きとか……今、彼女の社会的信用は消失したわ」

マリオンヌも嬉しそうに

「もう隔離されるよ。僕が王なら王都から出すね。国民が危険だと思うもの」

そう言った直後、画面ではミサ姫は屈強な銀鎧を着た衛兵達に囲まれ、廊下へと連れ出された。腕を振り回し抵抗しようとしたミサ姫はあっさり担ぎ上げられ、衛兵達に宮殿門外に連れ出されると、猛スピードで走って来た檻車に押し込まれ、都市内を何処かへ向かって連れて行かれだした。


 数名の騎兵が合流した檻車は広大な城塞都市を突っ切り、そのまま広い道路を疾走していく。俺が眺めていると女神が

「この調子だと、2時間くらいかかるから、ナラン君、王都で何か食べてきたら?」

「良いんですか、そんなにノンビリして」

「ガセッタ王国は、ラーメンが美味いの!一緒に食べましょう!」

マリオンヌが嫌そうな声で

「そういう他の星の食文化を定期的に移植するのどうかと思うよー?」

女神は憮然とした表情で

「放っておくとバターライススライム煮込みとか!ゾンビ腐肉酒とか!ゴブリン姿焼きとか!ドラゴンの糞から取れたキノコ和えとか!クソマズゲロ料理ばっかりになるでしょ!?」

マリオンヌは釈然としない表情で

「全部知ってるけど、美味いけどなあ……」

「そういう悲しみの味覚音痴を必死に是正してるのよ……ナラン君ならわかるでしょ?」

いきなり話を振られた俺は立ち上がると

「ラーメン食べましょう」

そう言うしかなかった。ラーメンってなんだろう……。


 何故か俺に抱きついた女神が

「よっしゃー!ラーメンじゃあああ!」

ぎゃあぎゃあ煩いのを我慢しながら、城塞都市の外ヘと着地する。そして騒然としている人々に混ざり、開きっぱなしの恐らく西門から都市内へと入っていく。女神お勧めの店という小さめの店舗に入ると、カウンターの中から鉢巻きを巻いた高齢店主が

「ああ、スズちゃんかい」

顔見知りになるほど通ってたのかよ……俺が驚いていると、女神は窓際の席に座り

「マスター!とんこつラーメン3つ!」

「はいよ!」

3つ……?と思っていると、シュマリアが店に入ってきて疲れた顔で

「良かった……悩んでいまして」

女神はシュマリアに

「久しぶり!シュマリアちゃん!旅の吟遊詩人スズよ!」

仮の設定をサラッと説明する。マスターは恐らくラーメンを作りながら

「今日は吟遊詩人なのかい。こないだは酔っ払って、自分は女神だとか言ってたねえ」

女神は後ろ頭をかきながら

「私は嘘つきで有名よ!ねえナラン君」

俺が黙って頷くとマスターは大笑いして、

麺を茹で始めた。どうやら麺料理らしい。


 店内に客は俺達3人しか居ないので、シュマリアはつつみ隠さず

「異端審問に入るタイミングが分かりません……正直、このような不寛容な仕事をしたことがないので……」

困った表情で言ってくる。女神は嬉しそうに

「異端審問官は2名まで助手を付けることができるわ。ラーメン食べたら皆で宮殿に行きましょう」

シュマリアは嬉しそうに

「女神様自ら、異端審問を?」

女神は俺を見ながら

「ナラン君がやるのよ」

軽く、そう言い放った。

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