スペシャル神の裁き
シュマリアと神の審判ルームに入ると、スクール水着姿の女神がテーブルの上で横になっていた。俺が
「何してるんですか?」
女神は天井を見ながら
「レンガや石造りの家は風雨に強いけど地震には弱い。耐震性が必要よね」
また邪神が変なこと言い始めた……と思っているとシュマリアが
「聖書4章のモフネスト・モネーンに仰ったお言葉ですね」
女神はガバッと起き上がると嬉しそうに
「そうそうそう!流石聖書マニア!このスーパー賢い創造神のふかーい真意は分かる?」
シュマリアは少し考え
「ガセッタ王国ですか?」
女神は「たまらない」といった表情で
「そうよ!ミサ姫が凄い勢いでカジノ作ってて外資を稼いでるけど、物凄いギャンブル依存も量産してるわ。長期的には良いと思えない。どうにかしてあげてね。あー楽し」
「俺がどうにかするんですか?」
女神はニコッと笑って消えた。
逃げられた……愕然としていると使命感に燃えた目になったシュマリアが
「女神様にご指名を受けました!ガセッタ王国を世直ししましょう!」
「いや、俺は三日間休みのはずで、シュマリアさんも休暇でしょ?女神様の命令より、休暇が大切ですよ」
どうせろくでもない女神の陰謀に巻き込まれるだけだ。もう俺は引っかからない。シュマリアはショックを受けた表情になり、すぐに気を取り直すと
「私が一人で行って参ります!」
毅然と部屋から出て行った。心配だが、まあ女神が見ているだろうから良いかと、俺はサナーの様子を地下に見に行く。
サナーは球体の中、気持ち良さげに浮いていた。半時間ほどボーッと眺め、問題なさそうだなと出ていこうとするとマリオンヌが天井から滲み出てきて
「ナランくーん、サナーちゃんのエネルギーがあるうちに、ガセッタ王国上空に移動したよー」
「……どういうことですか?」
天井に張り付いているマリオンヌは
「女神の指令で世直し。というかスペシャル神の裁きの試運転?」
「スペシャル神の裁きって何ですか?」
「共鳴粒子を使ったエネルギー兵器だよ。生き物は殺さずに建物や城を消滅できるんだ。武器もね。楽しいよ?」
「……」
良く分からないが嫌な予感がする。
マリオンヌは屋敷2階の薄暗い部屋に俺を連れていき、その中心に設置された真っ黒なソファに座らせた。
「よしよし、すぐに立体タッチパネルと立体スクリーンが出てくるから」
何を言われているのか分からないが、とりあえず座っていると、目の前にリアルな大きな地図が現れ、右の手元に5つのボタンも出現した。上から見た地図には立体的に地形が描かれ、山林や山や河などの自然の地形から集落や街、それに大きな城まで多数あるのがよく分かる。マリオンヌはボタンを伸びた触手で指差しながら
「一番左から、武器消滅、防具や服消滅、城壁消滅、城消滅、建物全て消滅、だね」
それから目の前の地図の右下の城跡を指差し
「ここは廃墟だから消しても大丈夫。ちょっと、ナラン君の右手で範囲指定してから消してみよっか。僕の触手に合わせて右手の人差指を動かして」
俺は言われた通り、目の前の地図にマリオンヌの触手の動きをなぞって人差指を動かしていく。地図上の城跡は虹色の四角に囲まれた。
マリオンヌは俺の右手下の左から3番目のボタンを触手で指すと
「押してみて」
少し戸惑ったが押してみる。直後に地図の城跡を囲んでいた壁がほぼ消えた。マリオンヌは満足そうに
「こっちでは一瞬だけど、現地では大音響と共に虹色の稲妻がめちゃくちゃ落ちてるからね。向こうの神学者が直ぐにスペシャル神の裁きだって気付いて騒ぎ出すだろう」
「俺、大変なことしてません?」
「うん。でも女神が許可してるから大丈夫。ぶっちゃけ今すぐガセッタ全域の武器や防具と服、建物消しても良いと思うよ。堕落したガセッタは一夜にして文明を失い滅んで、女神は大爆笑するだろうね」
急に全身が震えてきた。気軽にとんでもないことさせられてないか……?




