んもぐもぐっ
マリオンヌは触手を伸ばし、シュマリアの手を握ると
「僕ともぐもぐしよう」
勝手に求めだした。シュマリアは俺を見て
「もぐもぐとは?」
「あーえっと、この大きなスライムの身体に飲み込まれると、穢れとかそういうの吸ってくれまして……」
言い難いがどうにか説明するとシュマリアはニコリと微笑んで
「やりましょう。天界の住人様が不利益になるような事をするはずがありません」
俺が頷いた時にはシュマリアはもう飲み込まれていた。
いつものことだが、大丈夫かこれ……不安になっていると、マリオンヌの体内のシュマリアは薄目を開け、口を半開きにすると気持ち良さそうに浮き始めた。マリオンヌはもぐもぐと咀嚼しながら
「あー……綺麗だなあ……信仰を疑ってない……不摂生も借金もなし……女神を信じ切っているからストレスも少ない……もぐもぐ……でも……宗教と結婚したような自分の生活に……少し疑問がある……寂しい?」
大きな一つ目をグルグル回しながら
「ふーむ……男性経験がないので……少し……興味が出ている……ナラン君……?いや、ナラン君とリースちゃんの関係か……そういうのに興味がある……もぐもぐ……」
マリオンヌの身体がプルプル波打ち、シュマリアがブルッと震えると、身体中の穴という穴から黒い瘴気が漏れ出てきた。
マリオンヌは更に
「……あー……孤軍奮闘してる自分に酔ってるね……大きすぎる悪に押しつぶされそうになっている自分が好きなのかあ……ドMじゃん……孤独な自分を感じるたび、脳内物質で気持ち良くなってるし……業が深くてうめえなあ……んもぐもぐっ……」
マリオンヌは満足した表情になると「ブッ」と後部からシュマリアを吐き出した。
シュマリアは直ぐに立ち上がると
「素晴らしい体験でした」
そう言って、消えた。とりあえず無事に終わっただけでも良かった。俺はゆっくりと屋敷へと帰っていく。そして屋敷の開きっぱなしの入口へと入ろうとした瞬間「キーンッ!」という空を切る音が背後から聞こえ、箒に乗ったシュマリアが屋敷の門付近に追突直前で、宙でブレーキをかけ体勢を崩し、そのままゴロゴロと箒を抱えたまま、こちらまで転がってきた。
唖然としているとシスター服姿で乱れた髪のシュマリアはスっと立ち上がり、笑顔で
「ナラン様!警護いたします!」
と言ってきた。早くも実体で戻ってきたな……すげえメンタル……俺はどうにか頷いて2人で屋敷へと入っていく。




