ほぼ全て許してますよ
気づいたら、俺の背中に乗ったシャルロットは消えていた。ゆっくりと立ち上がる。宙を胡座をかいて浮きながら女神は微笑み
「裸だったのは、混沌粒子が造った疑似ボディだったからよ。服まで再現すると、情報量が多すぎるってわけですよ」
「教都に居る本体はどうしてるんですか?」
女神は足元を見つめ
「お昼寝してますねえ。でも心配しないで、実生活に影響出ないタイミングを選んでるから」
「なら、いいですけど……」
この邪神は雑なので、いまいち信用できない。
屋敷へと徒歩で戻っていく途中で横で浮いている女神が
「で、神の審判遊びを続けますかー?」
「審判で遊ばないでくださいよ。というか結構手間いりますよね……これ」
女神は全く俺の話を聞いていない感じで
「次はシュマリアちゃん呼ぼうと思ってるんですけど?」
「ちょっと休ませて貰えますか?」
女神は思いついた顔で
「そうか!リースちゃん呼べるか!どうせ跪いて動かないだけだし、本体は固定しとけば良いわけで」
立ち止まり、少し絶句して
「神聖な儀式中ですよ?」
女神はニヤニヤしながら
「ずっと接触してないからリースちゃんの頭の中知らないでしょ?大変なことになってますよー?早く何とかしないと」
怖いことを言ってきた。
神の審判ルームに2人で戻り、俺は多少緊張して椅子に座る。相変わらずスクール水着姿の女神は横に座り
「ナラン君、呼んで良いわ」
「女神様が選んだ聖者に神の審判下して良いんですか?」
もうやってることが無茶苦茶だと思う。女神は爽やかに頷くと
「練習、れんしゅーよ。はよ呼ぶ」
急かしてきた。仕方ないので
「聖者リースよ!あなたに神の審判を下します!」
俺はテーブル越しの椅子を見ながら言った。
次の瞬間、テーブルの上に、一糸まとわず跪いて祈っているリースが出現した。ブツブツと
「ナラン……ナランに触りたい……ナラン……私を……ナラン……でもダメ……これが終わったら……一杯気持ち良いことしてもらうの……ナラン……」
呟き続けているリースを見ながら俺は立ち上がり
「リース?」
声をかけると、リースは両目を開き
「あれ……ナラン?」
女神はニヤ付きながら
「リースちゃん、あなたには3つの罪があります」
シャルロットの時と同じことを言ってきた。
リースはテーブルで跪いたまま
「女神様、私の3つの罪とは……?」
女神は右手の人差指を立てると
「聖者でありながら、もはや私に祈らずに、ナラン君とのエッチな妄想で時間の大半を使っていること」
リースは全身が真っ赤になり、顔を伏せた。女神は人差指と中指を立て
「聖者スキル効果で労せず過ごせるので、次第に全身を露出する儀式が気持ち良くなりつつあり、常にナラン君の視線と言葉があればもっと良いと思い始めていること」
リースは顔を覆った。女神は更に薬指を立て
「横で好き勝手している聖者サナーちゃんが真剣に邪魔だと思い始めていること。居なくなれば良いとまで何度か思ったでしょ?」
リースは恥ずかしさでプルプル震えながら上半身を伏せてしまった。
女神はリースを愛おしそうに眺め
「リースちゃん、それで良いのよ。人間なんてそれで良いの」
リースは真っ赤な顔を上げると
「そ、そうでしょうか……」
女神は確信に満ちた笑顔で
「弱くてダメな自分を抱えながら、慰めて宥めながら生きていくのが人生よ。あなたは悪くない」
リースは上半身を起こすと
「許して……頂けますか?」
女神はニカッと笑って
「許すも何も、宗教とか儀式を作ったのは人間でしょ?私は最初からほぼ全て許してますよ?とんでもなく悪いこと以外は」
「しかし……私はナランに淫らな……」
「どんな形でも愛する人を想うっていうのは、神に祈るのと一緒の行為よ。だって、両方あなたの純粋な祈りを他者へ送るって事だからね」
何言ってんだこの邪神、と思いながら俺は適当に聞き流しているが、リースは感じるところがあったようで涙ぐみながらテーブルを降り、女神に跪いた。女神はニッコリ笑って
「そういうの良いって!そんなことより、お隣がダブルベッドの寝室になっております。さあ、大天使ナラン、聖者リースを全力で癒すのです」
いきなり俺に命令してきた。
そこから2人で寝室へと行き、何時間経ったか分からないほど激しく求めあった。濡れたシーツが乱れ飛んで、ベッドの位置がズレた頃、リースは消えた。少し、寂しかったが、久しぶりに本当の意味でストレス発散できたので、俺とリースにとっては良かったのかも知れない。
久しぶりにスッキリした気持ちで、隣の神の審判ルームへと戻ると、女神と、一糸まとわぬシュマリアが難しい顔で向かい合っていた。女神が自分で召喚したらしい。




