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冴えない俺が、何でも教えてくれる魔法を手に入れたけど……  作者: 弐屋 丑二
自己理解と目的の修正

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アークエンジェル

 シャルロットの頭を撫でていると、虹色の光に包まれた女神が

「もう良いわ。シャルロットちゃん座って。ナラン君は元の席に」

言われた通りにする。シャルロットも呆けた表情で座った。女神は腕を組み

「シャルロットちゃん、ナラン君のレベルとスキルを見なさい。道具は置いといてあげるから」

パチリと指を鳴らし、テーブルの上にシャルロットがいつも使っている大量の分厚い古書やモノクルなどを出現させた。


 シャルロットは呆けた顔でモノクルをかけ、古書のうちの一冊を広げ

「ではあ……ナラン様のお……鑑定を始めますねえ……」

大丈夫か?という調子で言ってきた。ポーッとした視線を俺に向けたシャルロットは、すぐにいつもの鋭い表情に戻り

「これは夢だ……どうせ夢だから、気にしないで頑張るのシャルロット……」

自らを励ますようにブツブツ呟きながら、数冊の古書を広げ、高速でめくり始めた。


 必死になったシャルロットを眺めていると、彼女は大きく息を吐き、俺を真剣な眼差しで見つめ

「……ナラン様、これは夢ですよね?」

まず、そう尋ねて来た。

「もちろん夢ですよ。シャルロットさんの夢です」

話を合わせると、シャルロットは肩の力を抜き

「ふーっ……そうですよね。恋するナラン様にわたくしの全てをさらけ出し、生まれたままの姿で鑑定など……現実なら耐えられません。しかし……」

シャルロットは真剣な眼差しに戻り

「夢であろうが、丸裸であろうが、わたくしはプロの鑑定士。ナラン様を現実と同じように鑑定させて頂きます」

女神が手を挙げ、シャルロットがそちらを見ると

「そのプロ意識を称え、報酬でレベルを5つ上げるわ」

シャルロットは頷いて

「ありがとうございます。例え夢でも報酬のお話はありがたいものです。では、鑑定結果をお伝えします」

少し間が開いて、シャルロットは真剣な様子で

「職業は、アークエンジェル、レベル357です」

俺は衝撃を受けてしまう。レベル100超えてたのか……。しかし357ってとんでもないことになってるな……。


 シャルロットは更に

「教都に来る前にあるスキル学の最新学術論文が発表されたのですが、簡潔に説明するとスキルデビル状態の存在は、素のレベルに250レベル足すべきであるという内容でして、今回からそれを加味することに致しました。ナランさんの素のレベルは107です」

俺は慌てて

「つまり、リブラーが嵩上げしてる250を入れると357レベルってことですね?」

シャルロットは頷くと

「わたくしも、日々研究を重ねております。リブラーが追加しているらしきスキルは省き、ナランさん御本人のスキルだけをお教えしますね」

俺が頷くと

「まずは、無償の愛をばら撒く花、これは聖者スキルです。女神様に触れられると発現する特殊スキルで、レベルアップ促進、加護スキルの発動等様々な効果があります」

そこでシャルロットはため息を吐くとニコリと笑い

「夢ですからね。次のスキルは天使の羽根です。背中から翼が生え、自由に空が飛べるだけではなく、飛行時の風圧や寒さを防ぐ効果があります」

シャルロットは少し間を開け

「女神への信仰、のスキルも追加されています。これは女神様への信頼と……」

「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!」

シャルロットは首を傾げる。

「あの、女神様への信頼とかないですけど……」

思わず言ってしまうと、発光している女神は手を叩いて爆笑して

「実際、側で見ているでしょ?畏怖に近い気持ちでもそのスキルは成立するの。良き良き、私への信頼とかいりませーん」

シャルロットはキョトンとした表情でこちらを見た後、ニコリと笑うと

「夢ですからね。とにかく、その三種のスキルはアークエンジェルの転職条件だと古文書にあります。次は人格スキルへ移ります」

そう言った。


 シャルロットはモノクルを外し、リラックスした表情になると

「まずはリースへの愛です。変わらず姫を愛していて素敵だなと思いました」

俺が微妙に恥ずかしくなっていると

「それからサナーとの友愛、スキルが発現しています。これは親友以上の存在を想う気持ちです」

シャルロットは、サラッと言って

「残りはウィズ王家との絆ですね。サーガ王家との絆は縁が薄くなり消えた様です。それから……これは人格スキルか微妙ですが……」

シャルロットはニコリと笑うと

「教国の守護者スキルが追加されています。これは教国関連の厄介事を多数解決した者に発現するスキルです。例え教皇でも過去に発現した例はとても少ないと記憶しております」

女神はパチパチと手を叩きながら立ち上がり

「よく頑張りました!よーし!サービスしちゃうぞーっ!ナラン君、シャルロットちゃんの横で四つん這いになりなさい!」

俺は黙って立ち上がる。要するにシャルロットの妄想を叶えてやろうということだ。確かに、一方的に呼び出し鑑定してもらったのでそのくらいはしても良いだろうとは思う。微妙に納得はいかないが……。


 晴れ渡った空中都市の閑散とした街中を四つん這いの俺に跨った、一糸まとわぬシャルロットが進む。その横ではスクール水着姿の女神が宙を流れるように横向きに浮かびながら

「シャルロットちゃんの3つ目の罪聞くー?」

シャルロットは嬉しそうな声で

「聞かせてください」

女神は宙をくるくる回りながら

「その素敵な才能を無償で使ってないことね。ボランティアも大切よー?きちんとマイナススキルを鑑定特定できれば助かるはずの、お金のない病人達も多いし」

「ああ……夢から覚めたら、考えてみますわ」

四つん這いの俺は、シャルロットからリクエストされた速度で、ゆっくりと進んでいく。何せ、レベル107もあるので体力的には何の問題もないが、絶対女神、心の中でこの謎プレイに爆笑してるだろ……と思いながら……。

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