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冴えない俺が、何でも教えてくれる魔法を手に入れたけど……  作者: 弐屋 丑二
自己理解と目的の修正

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神の奇跡で避難

 左右にステップを踏みながら

「ほっ!ほわーっ!ほわああ!」

涙目で奇声を上げるサナーの発光は次第に強くなっていった。女神、絶対爆笑してるだろ……サナーをもて遊ぶのもいい加減にしろよ……。焦れた俺がサナーをどうすれば救い出せるか考え始めた所だった。


 青空を急に「ゴロゴロ……」と不吉な音がする黒雲が包み込み、凄い、もう本当に凄いとしか例えられない神聖な女性の声が

「聖者サナーは……これから三日間、天界で修行させます……さあ、大天使よ……迎えに行くのです……」

天から響き渡る心地よい声色で告げると、黒雲から真っ白な光がサナーに向け、一直線に降りてきた。


 シュマリアは感動の余り、震え泣きながら

「凄い……まさか……天界修業の奇跡まで見られるとは……」

俺が小声でローウェルに

「それ何……?」

と尋ねると、低い小声で興味なさそうに

「ああ、緊急避難だろ?」

返されて余計分からなくなる。更にライトアップされてしまったサナーは全身を真っ赤にして

「うっ!うほーっ!うほーっ!」

また変な叫び声を上げているが、感動した様子の群衆は一斉にサナーに向け、祈りを捧げ始めた。


 そのまま半時間くらい時が過ぎた。いや、何も起こらないのかよ……担当の大天使が迎えに来るんだろ。早く来いよ……サナー、汗まみれでステップを踏み続けてるぞ。などと若干不安になっていると、再び神聖な声が天から

「付近の……大天使よ……聖者サナーを……天界へと……導くのです……」

そう響き渡った。ローウェルから軽く背中を叩かれようやく気付く。まさか俺が連れて行くのか……いや、でもこのままだと、俺が大天使だとバレるし……どうすれば……クソッ、不本意だが仕方ない。

「リブラー」

久しぶりに唱えた。直後にいつもの声が


 この状況を乗り切るのは容易いです。つまり、ナランさんの身体も発光させれば良いのです。マイナススキルの、エネルギーの漏洩、着火する生命を追加します。2分以内にサナーさんを抱え上げジン・スカイストリートへと連れて行ってください。生命エネルギーの大量流出により、ナランさんが気絶する可能性が高いです。


 リブラーの説明が終わった次の瞬間、猛烈な吐き気と共に俺の身体全体が虹色に激しく発光し始めた。同時にローウェルが俺を抱え上げ、石碑に向けて全力で遠投する。


 どうにか空中で天使の羽を出し、石碑の前へと両足で着地すると群衆から大歓声が上がり、ステップをしていたサナーが涙目で俺に抱きついてきた。吐き気に加え、立ちくらみもしてきたので、急いでサナーを抱き上げ、黒雲から差している一筋の光目掛けて飛び立った。


 自分で思う十倍の速度で、俺は黒雲を突き抜け上昇していき、瞬く間に上空に浮くジン・スカイストリートを飛び越してしまった。目のかすみや吐き気と戦いながら、どうにか軌道修正をして空中都市中央の崩れた城門前に着地すると、そのままサナーと重なるように倒れ込む。


 いつの間にか横に立っていた女神が俺に手を翳すと、吐き気と俺達の発光が消えた。

「おつかれー。サナーちゃんが恥ずかしさで狂いそうだったから、神の奇跡で避難させてあげましたー。発光は私のせいじゃありまっせーん」

女神は軽くそう言うと

「ま、三日間、天界でのバカンスを楽しんで」

そう言って消えた。よくわからないが、何か安心し、大の字に寝転び青空を見上げる。サナーは気絶しているようで大人しい。

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