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冴えない俺が、何でも教えてくれる魔法を手に入れたけど……  作者: 弐屋 丑二
自己理解と目的の修正

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大きく育って欲しいし

 というわけで、女神の言うビッグニャンニャン司祭、つまり、ヒリュウ民主主義共和国のニャンギエフ大司祭を啓示で止めることになった。上司の女神の命令で……有無を言わさずそうすることになったのだ。自分で啓示をニャンギエフに与えたらどうですか?と、うどんを食べながら文句を言うと

「だってもし説教になったら、私のビッグニャンニャンを傷つけちゃうでしょ?ニャンニャンには大きく育って欲しいし」

女神は意味が分からない返答をしてきたが、恐らくはもう自分でニャンギエフを飼っているつもりのようだ。獣人も人間だと思うのだが……いや、邪神の思考に付き合うのは消耗するので、さっさと終わらすことにする。


 暮れゆく街外れから、天使の翼を生やし、上空へ飛び上がる。マリオンヌに意識だけ装置に呼んでもらおうと思ったが、女神が

「飛んで行ってねーこれは神の命令です」

などと面倒なことを言ったので仕方なく従うことにした。休暇が削られて行くだけだし、とっとと啓示を出すためジン・スカイストリートへと一直線に……と思った時だった。

「そこの天使様!」

宙で呼び止められ思わず振り向くと、箒に跨りシスター服を着た、三十代前半くらいの茶髪を後ろで束ね丸メガネをかけた簡素な雰囲気の女性が浮いていた。うわー見つかった……超めんどくせえ……逃げるか……。見なかったふりをして上昇しようとすると女性は物凄い勢いで宙を詰めてきて、俺の手を勢いよく取った。そのまま箒から落ちていきそうだったので、咄嗟に支えると

「天使様……お話したいことが」

必死の形相で言ってくる。俺は頷くしかなかった。


 とりあえず、女性と教都外れの丘に降りる。女性は丁寧に礼を述べると

「シュマリア・ナイトベルと申します。教都上空の警備を担当しているテンプルナイトです」

「これはどうも」

緊張しつつ会釈を返す。教都守備のテンプルナイト、つまり聖騎士ということだ。間違いなく超高レベルの使い手で、神学も熟知しているインテリだ。シュマリアは真剣な様子で

「私、初めて天使様にお会いして感動していますが、それよりもお伝えしたきことが」

「なんでしょうか?」

シュマリアは真剣な様子で

「教都に、各国首脳陣がいらっしゃっていますが、とてつもない額の賄賂が教国上層部に流れています。これは女神様の教えに反することです。特に異端審問官様への接待と賄賂は酷いものです。彼も喜んで受け入れています」

「……」

全部知ってるし、女神も容認してるようだが、真面目に心を痛めている教国職員もいたんだなあ……とシュマリアの真剣な眼差しを見つめ返しながら

「あの、具体的に俺にどうして欲しいですか?」

シュマリアははっきりした口調で

「不心得者共に天罰を下して頂きたいです」

まあ、熱心な女神教信徒ならそう思うよな。権力闘争に腐敗にと、酷いもんだと思うけど、その渦中のヘグムマレーの苦労も知っているので簡単には答えられない。とりあえず

「女神様に相談してみます。俺については秘密にしてください」

「宜しくお願いいたします」

深く頭を下げられた。俺は逃げるように天使の翼を羽ばたかせ、暗くなっていく大空へと上昇していく。


 光石に照らされライトアップされたジン・スカイストリートの崩れた城門前には、マリオンヌが待っていて、すぐに俺を地下装置があるいつもの屋敷まで連れて行ってくれた。水に満たされた球体に触れると同化して、球体内部からマリオンヌを見つめていると

「じゃ、ニャンギエフ近くの神像に降ろすから、頑張ってねー」

そう言われるのと同時に意識が落ちていく。

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