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冴えない俺が、何でも教えてくれる魔法を手に入れたけど……  作者: 弐屋 丑二
自己理解と目的の修正

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時間の置き換え

アン王女はマリオンヌの半透明な体内で両眼を開け、俺達に気付く。呆然とした表情をしたアン王女を見ながら大天使セイが

「かなり正気を取り戻したな」

女神も頷いて

「もう味がしなくなったんじゃない?」

マリオンヌは仕方なさそうに「ブッ」という音と共に身体の後部からアン王女を噴き出した。


 セイがアン王女の手を取り

「アン・サーガ王女、正気に戻ったか」

「こ、ここは……ナラン様……」

胸と股を隠したアン王女に俺が

「天界ですよ。この方が女神様で、こちらの背の高い方が大天使セイさんです」

女神は軽い調子で

「アンちゃん、女神でーす。偽スキルはダメでしょ?」

アン王女はあっさり事態を察したようで、その場に土下座した。女神は腰に手を当て

「あのねえ、あなたこのままだと、神罰を受けた者が収容される神罰島に一生収容されるけど」

アン王女は全身を震わせながら

「そ、それだけは……神罰だけわあ……」

急にニヤニヤし始めた女神は

「私に許される為、何でもする?」

「は、はい!何でもいたします!」

「聖者は諦める?」

「……くっ……はい、諦めます……」

女神は満足げに頷くと

「セイちゃん、準備出来たわね。罪も吐かせたし補強も十分よ。執行しましょう」

セイは大きく息を吐くと、俺を見ながら

「ナラン、アン・サーガ王女を置き換える」

「置き換える?どういうことですか?」

セイは黙って女神を見た。女神は満面の笑みで

「ボウガーがサナーちゃん消して、その後、蘇ったでしょ?それを利用するのよ」

「どういうことですか?」

セイが、頭を下げたままのアン王女を見下ろしながら

「奴隷商の子供が居ただろ?あれは家族共々神罰島送りになる。それは女神が未来を変えたことで起こることで本来なかったことだ」

女神は得意げに

「アンちゃんが受けるはずだった神罰はあの子が受けた。そしてアンちゃんが受けるはずの刑罰はあの子と家族親族が分散して受ける」

「……?」

女神は何を言ってるんだ?


 女神は大きく息を吸うと

「アン・サーガよ。あなたは、数々の試練を乗り越え、天界で我らの前で裁かれました。私はあなたの罪を許します。今から慈悲として、何事もなかったことにしてあげます」

威厳ある声色でそう言った。大天使セイも頷き

「お疲れ」

次の瞬間、一糸まとわぬアン王女は、裸のサナーに代わっていた。


 何が起こっているのか分からない。サナーはスッと立ち上がると、少し悔しげに

「おい女神、最初から、私を聖者としてリースの横に配置するつもりだっただろ……」

女神はにこやかに首を横に振り

「違うわ。ボウガーがあなたを消したから、それを逆に利用させて貰っただけ。意識は戻ってたから、後は、時空間的に矛盾のない肉体を用意するだけだった」

セイが真顔で

「アン王女はもう限界だった。十分に罰を受けたし、既に何事もなかったことになり、元の屋敷に戻っている」

俺が慌てて

「ちょ、ちょっと待ってくださいよ。どういうことなんですか?」

セイはニカッと笑うと

「サナーが本物の聖者として、儀式を執り行う」

女神も嬉しそうに

「時間の置き換えを実行したわ。サナーちゃんが、サーガ共和国からここまで聖者として護送されてきて、儀式をしているということになったから」

「……は?」

サナーが顔を真っ赤にして俺に抱きついて

「私が極まったド変態儀式をやらされるってことだよ!察しろ!」

いやわかんねえって!何が起こってるんだ……。

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