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冴えない俺が、何でも教えてくれる魔法を手に入れたけど……  作者: 弐屋 丑二
自己理解と目的の修正

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オーバーワーク

 その後、俺は少し離れ、女神が一列にならんだモンスター達の陳情を受けているのを眺めていた。ムケットパンスターで戦ったオークの王は女神に

「元々陳情予定だった運河開拓はブラーヘッド様に担って頂けるとのことなので、南部の沼地を女神様のお力で農作地ヘと開墾して頂きたいのですが」

そう頼み、女神から

「うーん……結構あの辺り、水棲生物が多いし、雨季になるとドラゴンや虫達も来てるのよ。東部岩礁で養殖とかどう?」

代案を提示され、あっさり受け入れていた。


 オーガの女王は丸出しの胸を張って女神に

「オーガの美しすぎる女王ミレーミだ!女神!うちの種族を地上へと住まわせろ!」

左右の老オーガ達が驚く中、偉そうに命令して苦笑いされ

「繁殖能力高すぎるから他種族と交わる場所はダメね。でも絶海の孤島が幾つか空いてるから、そこでよければ移住させてあげるけど?」

「見学させろ!」

「良いわよ。大天使ナラン君!ここから南西に飛ぶとハートマークの大きな島があるからそこにこの子達を連れて行って!」

「は、はい……」

「あっちの建物に使われてない石舟が格納されてるから、この3名を乗せてね」

女神はウインクして、近くの倉庫らしき建物に指を差した。


 何とか倉庫を開けて、薄暗く広いその中から鈍く発光する石で造られた小舟を引きずり出し、オーガの3名を乗せた。そして天使の羽根を背中から出し、担いで飛ぶことにする。かなり重いはずだが、あっさり担げてしまった俺の現レベルがそろそろ本気で気になりながら、女神に言われた通り南西ヘと飛んでいく。


 教国のある大きな島を眼下に見ながら大海原の上へと出ていき、そのまま南西ヘと羽ばたいていると、小さな島々に囲まれたー、四方が高い絶壁になっているハート型の島が見えてきた。島の表面は緑に覆われており湖もあり、何らかの種族が住んでいる形跡は無さそうだ。担いでいる石船の上からオーガの女王が

「おおおおお!思ったより広い!これぞ新天地だ!早く!早く降ろしてくれ!」

うるさいので、中心部の湖にさっさと着陸することにする。


 石船を湖畔に置くと、3名とも降りて現地調査についての話し合いをし始めた。俺の頭の中で大天使セイの声が

「後はセイ様に任せろ。オーガ達に自由に調査を続けろと言ってから、ジン・スカイストリートに帰って来い。別件がある」

と言ってきたのでオーガ達に、俺は帰ります、迎えは別の大天使が来ます、自由に現地調査をしていてくださいと素早く告げ、天使の翼を出し、北東へと急いで飛んで帰っていく。


 ジン・スカイストリート近くまで戻ると、大天使セイが空中に浮かびながら待っていて

「マリオンヌの話がある。付いてこい」

そう言ってきた。飛んで付いていくと、崩れた城門付近でマリオンヌがプルプル揺れながら待っていて、セイとすぐ横に着地すると

「あのさあ……五十年仕事ができなかった僕を……いきなり働かせすぎでしょ?交通整理に、セイさんがやっている空の屈折率調整の補助……もうオーバーワークだよ」

マリオンヌは不満げな表情で言ってくる。大天使セイはニヤリと笑い、俺を見て

「ストレス解消に誰か、もぐもぐさせろってことだよ」

「あー……」

リースにやった様に誰か喰いたい様だ。いやでも……あれは簡単には……もうこの際、オーガ女王との子作りついでにフォッカーを生贄に捧げるか?いや待てよ……寧ろ俺が行くべきか?いやでも、男はマリオンヌが拒否するのでは?などと混乱しながら迷っていると、マリオンヌは自ら

「アン・サーガ王女が食べたい」

無茶なことを言ってきた。

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