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冴えない俺が、何でも教えてくれる魔法を手に入れたけど……  作者: 弐屋 丑二
自己理解と目的の修正

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あたち

 女神は訝しげに男を見て

「何に使うのよ」

男は揺るぎない笑みを浮かべ

「居住区内のメモリーストームが激しくなっております。リブラーのスキル移動で解決してもらおうかと」

女神は舌打ちすると

「まあ、確かにね。でも後でいい?これから、あんた達以上に厄介な種族が来るからね」

「ああ、真の支配者様達ですか」

「その皮肉もムカつくから、サッサと上に帰ってね。ああ、後マリオンヌとの会話は筒抜けだから、変なこと企まないように」

男は俺と女神に深く頭を下げると、こちらへ一斉に頭を下げてきた他の霊体達と共に消えた。女神はその場に座り込むと

「……まー……哀れだと思いますよ。身体を失って残置物として生きるのは」

「……」

クルクルとこの邪神の感情は変わるので、付いていくことを俺はもう諦めた。


 女神はスッと立ち上がると

「よろしい。難物に立ち向かうとします」

そう言って夜空を見上げ

「マリオンヌ!へそ曲げてないで次!今度ナラン君のハーレム構成員達を味あわせてあげるから!」

そう叫んだ直後に、黒い塊が夜空を降下し始めたのが見える。いやハーレムって……そんなもんないって……あったとしても勝手にマリオンヌに食わそうとするなよ……何だこの邪神……などと思っていると、瞬く間に塊は長い尻尾を持つ巨大な羽ばたく何かだと分かり、それが真っ青に輝く鱗に覆われた身体全体が電気を帯びた巨大竜だと分かるまですぐだった。


 先端が電気の玉になっている尻尾を入れれば体長百メートル程ありそうな巨大竜は、広い山頂の向こう側へ器用に身体と尻尾を丸めて着地した。同時に全身を覆ってスパークしていた電気は治まり、2本の太い角そして長い鼻と口を持つ頭の前に、俺と女神が近づくと、巨竜は金の両眼を大きく見開き

「女神よ……久しぶりだな」

地響きがするような巨大生物の恐らくは囁き声、俺が吹き飛ばされそうになっていると、隣の女神は平然とした顔で

「ブラーヘッド、エイシスとの仲はどう?」

いきなり俺の頭の中に甲高い少女の声が

「女神ちゃんさー、それ最初に訊く?一応あたちもドラゴンの女王なんだけど!エイシスとは当然仲は悪いわよ?で、それが今この場に関係あるわけ?ないでしょ?そもそも見てて知ってますよね?というか、わざわざあたちがドラゴンモードで来た意味わかってる?種族背負ってるんだけど!」

早口でまくし立ててきた。


 女神は両肩を落とすと

「分かった分かった。何の用事があるか、単刀直入に教えてくれる?」

女神にも聞こえていたようなので今のは念話だったらしい。ドラゴンの口が僅かに開き、厳かに

「ソングァークが帰って来た。我は王座を明け渡すべきか?」

女神はしばらく巨竜の厳しい顔を見つめ

「……ドラゴンの王であるブラーヘッドの判断に任すわ」

するとまた甲高い少女の声が

「そういう投げやりなの止めてくれない?我々は女神ちゃんの直系子孫である最重要種族であり、最も高貴でこの惑星で主要な種族よ?知能も高くて女神であるあなたが女神教と人間の低能さにウンザリしているのもよーく知ってる。だーかーら、物質的に地上最強の生き物であるあたち達があなたの暇つぶしの為に毎回このくだらない儀式の度に陳情に来てあげてる面もあるのよ?そう言う事情もちゃんと考えて!女神ちゃん大人でしょ?」

念話でまくし立ててきた。女神は俺の方を見て

「めんどくさ……」

思わず小声で言ってくる。少女の声がもし目前の巨竜の声ならば、確かに相当にめんどくさいが、もっとめんどくさい女神を短時間でここまで追い詰めているので、良い線行ってると思う。心の中でこっそりエールを送る。

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