何で……こんなドMに
女神はウンザリした様子で
「じゃあ、こういうのどうですかね」
そう言って大きく息を吐くと
「ブラーヘッドは電気を操り、エイシスは闇を操って、ソングァークはよく居るスタンダードタイプでしょ?」
そこでジッと、巨竜の黄金の両眼を見つめると
「三つどもえで王座を争ってみななさいよ。あんたら凶暴な種族の癖に、自分らが一番知能が高いからって種族内での殴り合いを控えすぎよ」
直後に突風のような巨竜の深い溜息が吐かれ、甲高い少女の声の念話が
「女神ちゃん?女神ちゃんって高次元存在だから物質的腐敗と無縁だと思うけどあえて言うわ、脳みそ腐ってる?あたち達が種族的な自制をしているからこの世界は保たれているのよ?低能な人間は上位存在がないとすぐに調子に乗るからってことで、女神ちゃんが連れてきたのが我々竜族ですよね?あたちはリングリング直系子孫で、エイシスはオギュミノス、ソングァークはライグァークの子よ?皆とーっても高貴なる血が入ってる。そんなノーブルなあたち達が種族内での争いなんてするわけないでしょ?」
女神は全力で顔を歪め「めんどくせえ……もう嫌だ」という表情で俺を見てくる。
良いぞもっとやれ、という気分なので苦笑いして顔を横に逸らすと、女神は大きく深呼吸した後
「ブラーヘッド、私への数々の失礼な言動により神罰を課すわ。この大天使ナランと上空で全力で一戦交えた後、さっさと故郷に帰んなさい。王座については他種族の有識者を交えた大会議を開催するように。我ら天界勢からはセイちゃん派遣してあげるから。これは命令よ。拒否は許さない」
少女の声が嬉しそうに
「そう!そうよ女神ちゃん!そういうのが欲しいわけ!よーし、がんばるぞー!うー燃えてきたー!」
女神はまた肩を落とし
「毎回これ……何で……こんなドMに育っちゃったかなあ……」
いきなり指名された俺は慌てて
「女神様……あの……」
女神はダルそうに横を向いたまま
「はよ行く。一応これで大種族の陳情は終わりだから」
シッシと犬を追い払うように右手を縦に振ってくる。
巨竜はゆっくりと羽ばたきながら、上空に上昇していく。全く風が起こらず、あまりにもスムーズに巨体を操っているので見惚れていると、メキメキと俺の背中に天使の羽根が生え、勝手に羽ばたいて上昇し始めた。




