まだ気付かねえのか
4人で車座に座る。俺は少し考えた後
「まず、女神様はローウェルとタカユキさんとあと俺が封印したよな?」
ローウェルは苦笑しながら
「そうだな」
「封印した理由は、確か、ボウガーが女神様に寄生している可能性があるからだろ?」
女神は困惑した様子で
「あれ?私が、ボウガーを高次元から探索するという目的だった様な……」
俺はシーネを見て
「それから、シーネさんしれっと戻ってますけど、あなた確か女神様の天罰でサナーの胎児としてやり直すはずだったんですよね?」
シーネはニヤーッと笑うと
「それはですねえ……サナーさんが消えたからですよー。無しになったんですねえ」
女神は急に混乱した様子になり
「あれ……なんで私、マイナススキル大量削除したんだろ……惑星への負担と因果の歪みが大きいのに……」
ローウェルは大きく息を吐くと立ち上がり
「女神……まだ気付かねえのか?」
突然、女神に向けて両手に逆さ持ちした虹色に輝く忍者刀を一閃した。
俺が両目を見開き、景色がスローモーションで流れていく。ローウェルが女神に向け放ったと思われた2本の剣筋は綺麗な、まるで三日月の様な弧を描き、シーネに襲いかかった。俺の目は確かにシーネの首が飛んだ様に見えた。
次の瞬間には、俺達は何事もなかったかのように車座に座っていて、女神は真っ青な顔になり、ローウェルは舌打ちをすると
「ナラン、紹介しよう。ルーディア・ブラックバードだ」
そう言いながらシーネの方を見た時には、そこには誰も居なかった。女神は地面を見ながら
「そ、そうか……ナラン君に異常な興味を持っていたのも……元は一つの存在だからで……世界を分断するような統治をしていたのも……私を妨害するため……何てこと……何てことなの……」
ローウェルは立ち上がる煙草に火を点け、風下に煙を流し始めた。
「……惜しかったなあ……つーか女神な」
女神は頷いて
「……多分だけど、私にシーネなんて娘は居ないわ……因果を分解し続けた果てに、私にそう思い込ませたのね」
俺は流れに付いていけず
「シーネさんは、ボウガーで女神様の娘じゃなかった……?」
「そうだ」
「そういうことになるわね」
現実を受け入れられず、その場に大の字に寝転んでしまう。
夕暮れが夜空へと変わっていくのを見上げていると女神がポツリと
「ローウェル君とハルンちゃんは気付いていたのね」
ローウェルは背中を向け、煙草を吸いながら
「俺達じゃなくて、経理のマジメルが最初に気付いた。あいつは哲理スキル持ちだ」
女神は悟った様子で
「ああ、物事の真理を追求するから、身近に潜入してたシーネちゃんの違和感に気付いたと……」
「それとなく知らされてからは殺す機会を伺ってた。暗黒地帯がナランと俺達に切り取られた時は、アイツ焦っててなあ……隙があったんだが、ナラン達から離れず盾にしてただろ?」
「うわー……私も良いように利用されてたんだ」
女神も大の字に寝転んでしまう。
ローウェルは大きく煙を吐き出すと
「厳重に守られてたサナーがあっさり消えたのは、シーネが未来でサナーの胎児になってボウガーとサナーが同一存在になったからだよ。女神、だいぶ都合が良いように操られてるぞ」
女神は完全にやる気を喪失していて
「私が……ここまでコケにされるとは……」
いやわかんねーわ……シーネがボウガーとか……女神が操られていたとか……。そもそも女神はナチュラルに狂っているので、どの程度ボウガーに操られていたのか、さっぱり分かりません!星空……綺麗だ……な……。




