辻褄
夕暮れに照らされた大空を飛びながら、俺の手を握り天使の羽根を羽ばたかせている女神に
「あの、さっぱり分からないんですけど」
女神は前を見たまま
「私は、あなたたちと違う時間の流れで生きているから、封印されることも分かっていたので、予め脱出口をトール君の極悪お祖母様の身体を使って創っていたわけ」
「極悪なんですか?」
トールは優しいと言っていたが
「人が人を売るなんてのはどの時代でも極悪よ。平等に働かせているように見せかけて、搾取しているのも同じよね」
「でも長年許されてきたって……」
女神は急に笑い出し
「どんな生き物にも更生する可能性はあるわ。そしてトール君の一族は、私があの場で復活するまでが更生できるリミットだったわけね」
急に怖くなってくる。つまり、俺がきちんと導ければ、今ごろトール達は幸せに……。
女神は大きくため息を吐くと
「ナラン君のせいじゃないわ。いずれトール君達は教会によって神罰者達の収容所に送られ、あの国の奴隷商売は崩壊するでしょうね」
「……あの、サナーは?」
「私と融合してエネルギーを借りてる。そのうち返還するわ」
「そ、そうですか……」
なんかこの邪神が怖くなってきたので、大人しく従うことにする。
瞬く間にジン・スカイストリートが上空に浮いているトラアス島へと戻って来た。女神は一旦、異形達が蠢いている空中都市へ向かおうとして
「マリオンヌの仕事を邪魔するのもねえ」
そう呟くと、大ルペーソナ山頂岩場へと急降下していった。
岩場では相変わらずリースとアン王女は跪き祈っていて、ローウェルは胡座を組んで風下に向け煙草を蒸し、シーネは暇そうに寝転んでいた。俺達が近くへと着地するとシーネは飛び起き、ローウェルもダルそうに立ち上がり
「お早いお帰りで。ボウガーはどうだったんだ」
「痕跡は見つからないわ」
シーネは嬉しそうに
「お母様!生きている身体良いですねえ」
「でしょ?」
いや全員何言ってるか分からない。ずっと辻褄が合って無い気がする。ローウェルに
「いや、ちょっと待ってくれ。何かずっとおかしいぞ」
3人とも一斉に俺を見てきてローウェルが真剣な眼差しで
「ナラン、何をおかしいと感じたか、ゆっくりで良いから順番に説明してくれ」
と言ってきた。




