面白い案件
俺は迷った挙句
「事情は分かったよ、トール。明日、君の商売を見させて貰う。今日は休ませて貰って良いかな」
トールは素直に頷いて
「客室をご用意します」
そう言ってくれた。
豪華な客室へと入り、メイドが用意してくれた温かい濡れタオルで身体を拭き、寝間着を着て、ベッドに横たわる。奴隷商か……そして今は封印されている女神の適当な方針転換の被害者……。目を閉じると意識が堕ちた。
……
目を開けると精神世界のアン王女監視部屋だった。現実世界のアン王女が現実世界のシーネに纏わりつかれて
「くぶっ……ふえっ……」
などと悶えている。ボニアスとノヴェナがそれをかぶりつきで見ながら
「腋……じゃな」
「師匠、角度が大事なようですね」
それを近くの椅子に大天使セイと並んで座り、呆れた顔で見ていたサナーが
「お、ナラン!面白い案件だな!」
嬉しそうに立ち上がると駆け寄ってくる。大天使セイも近づいて来て
「気づいていると思うがすまん……あのアホがすまん」
女神の失敗を謝ってきた。
「いや良いんですけど、どうします?」
セイは複雑な表情でサナーを見る。サナーはニカッと笑って
「ナラン!朝になったら私に身体を貸してくれ!」
どうやらアイデアがあるようだ。
その後、セイから儀式はしばらく俺は休んで良いと言うことと、アン王女とシーネもセイが監視しているので気にしないで良いと言われ、現実世界の身体に戻り、睡眠をとった。
翌朝、俺の身体は勝手にベッドから出て背伸びすると
「ナラン、私が操作するからな!」
口が勝手に動いて宣言した。俺も口を動かし
「黙って見てるからな」
「うん!よーしまずは着替えよう!」
俺の身体は折り畳まれた下着や貴族服を自動で着ていくと少し恥ずかしそうに
「ナランの身体……面白いな」
黙っていると、扉が叩かれトールの声で
「朝ごはんの支度ができました!」
声がかかった。
サナーが動かしている俺の身体はトールと2人で朝食を食べ、そして大邸宅の正門前に停められた馬車に乗り商売を見学しに行くことになった。




