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冴えない俺が、何でも教えてくれる魔法を手に入れたけど……  作者: 弐屋 丑二
自己理解と目的の修正

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荒れていく海

 しばらくすると雨が降って来る。俺は座ったまま次第に荒れていく海を眺めていた。そして、天使の羽根を出して、帰ろうと立ち上がると

「えっ!」

背後から子どもの声がした。


 振り返ると、ずぶ濡れで身なりの良い黒髪の男の子が立っていた。彼はすぐに駆け寄って来ると

「天使様ですよね!?」

必死な形相で尋ねてきた。

「一応、天使だとは思う」

「僕の家!今大変なことになっていて、助けてください!」

「……」

天使の羽根を消しながら頷くと、ずぶ濡れの手を握られ引っ張られて行く。


 しばらく歩くと、海辺の大邸宅が見えてきた。別に荒れては居ない。むしろ俺が居た浜辺もプライベートビーチみたいなもんだったのかも知れない。男の子が屋敷の裏庭へと柵を開けて入ると、すぐに若いメイドが駆けてきて

「おぼっちゃま!大丈夫ですか?……その方は?」

「野犬に襲われそうになっていた僕を助けてくれた方だよ」

俺が苦笑いしながら頷くと、メイドは慌てて頭を深く下げてきて

「こちらへ!」

大邸宅の中へといざなって行く。


 タオルを渡されて客間で服や身体を拭いていると、着替えた男の子が入って来て

「天使様、失礼をしました」

そう言いながら、椅子に座るように促して来る。濡れた黒装束で湿らないようにタオルを下に敷いて座ると、男の子は横に座ってきて

「僕は、トール・カザミと言います」

「ナランです。丁寧にどうも」

「あの、ナラン様、僕の家は今、追い詰められています」

そう言って話始めた。


 要約するとこうだ。

 このライウーレン市には、ウルフグループとスネークグループという大きな商売の集団があった。カザミ家はウルフ側の筆頭なのだが、最近家族に病気系マイナススキルや、それ以外のマイナススキルも多数発現してしまい商売が上手く行っていない。スキル鑑定士によると、女神や大天使による天罰の可能性があるらしい。それ程、悪い商売はしていないと思う、単に奴隷を扱っているだけだ。


 俺は唖然としてトールになんて言おうか、しばらく迷う。恐らく、あの邪神が世界中のマイナススキルを削除した時に、その分を何処に付けるか迷った挙句、適当にサナーが憎んでる奴隷商人に付けまくったとかだろうが……いや奴隷商は良くないと俺も思うけど、天罰食らうまでは何もなかったのに、あの邪神の急な方針転換の犠牲者なのは確かだろうし……どうしよ……。

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